著者
長束 一行
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.145-150, 2004
参考文献数
3

頸動脈病変の診断に超音波検査を用いた場合のメリットは,狭窄率や潰瘍の有無といった形態的な情報ばかりでなく,組織性状も推測できることにある.形態診断:狭窄率の精度に関しては,Bモード,カラードプラ,パワードプラ画像に血流速度の情報を加味することで,90%以上の正診率があるとされている.どの診断法をgold standard とするのかという問題もあるが,われわれの成績では画像からの計測のみでは高度狭窄例では過小評価される傾向があった.また,石灰化の強い例などでは計測不能なこともあり,血流速度による狭窄率の評価を併用する必要がある.しかし血流速度による狭窄率の測定はさまざまなパラメーターが用いられ,まだ標準化されていないという問題点がある。組織性状診断:超音波で見えるプラークは,輝度からecholucent,echoqenic,hyperechoicと分けることができ,均一性からhomogeneous,heterogeneousと分類できる. echolucentなものは血腫や粥種,echogenicなものはfibrosis,hyperechoicなものは石灰化を反映しており, 90%以上の精度で組織性状と一致するといわれている.しかし,現在エコー輝度による分類は検者の主観で決定されており,診断装置の機種や設定によりかなり見え方も異なる.今後エコー輝度の定量化が必要と考えられている.
著者
古賀 政利 上原 敏志 長束 一行 安井 信之 長谷川 泰弘 岡田 靖 峰松 一夫
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.67-73, 2009
被引用文献数
3

背景および目的:脳卒中では緊密な連携の重要性が強調されている.脳卒中地域医療における急性期病院の実態を明らかにする.<br> 方法:急性期病院2,185施設に対しアンケート調査を行った.<br> 結果:有効回答46%で,うち52%が脳卒中患者を診療していた.多くが,地域医療圏は二次医療圏(45%)であるとし,その中心的役割は急性期病院(69%)と回答した.他の急性期病院,回復期リハ病棟,一般診療所,維持期施設事業所,周辺地域全体,自治体との連携が良好は75%,75%,74%,69%,73%,34%であった.医療(介護)情報を既に共有しているのは20%(14%)で,共有する予定51%(51%),共有する予定なし25%(30%)であった.医療保険と介護保険のシステムでは十分なリハビリを提供しにくいとの回答が67%に達した.<br> 結論:脳卒中連携において中心的役割を担う急性期病院でも,地域での情報共有は未だ十分ではなかった.<br>
著者
東田 京子 田中 智貴 山上 宏 泊 晋哉 福間 一樹 奥野 善教 阿部 宗一郎 長束 一行 豊田 一則 猪原 匡史
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.217-222, 2018 (Released:2018-04-25)
参考文献数
17
被引用文献数
3 3

脳卒中後てんかんの大規模研究は少なく,一定のコンセンサスが得られていない.今回,本邦での脳卒中後てんかんの診療実態を明らかにすることとした.2015年2~5月の脳梗塞治療症例数上位500施設を対象に患者数,検査,治療について,計14問のアンケートを依頼し,189施設から回答が得られた.てんかん入院症例の39%に脳卒中既往があった.検査については頭部MRIや脳波検査はそれぞれ99,97%の施設で施行されていたが,検査陽性率は低値であった.治療については発作の再発抑制にはカルバマゼピン,バルプロ酸,レベチラセタムの順に第1選択薬とされていた.