67 0 0 0 OA 頸椎症の診療

著者
安藤 哲朗
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.469-479, 2012 (Released:2012-07-27)
参考文献数
49
被引用文献数
8 7

頸椎症は50歳以上の人では高頻度であり,神経根症と脊髄症をおこす.放射線画像上の頸椎症性変化は無症候性のことも多いので,神経症候が頸椎症からおこっているのか,それとも他の神経疾患からおこっているのかを評価する必要がある.誤診を防ぐためには画像上の病変の高位と神経症候とを対比することが重要である.とくに頸椎症と筋萎縮性側索硬化症の鑑別診断は臨床上重要な問題である.頸椎症患者の経過や予後は様々なので,予測はかなり困難である.多くの患者は比較的良好な経過をとる.
著者
園生 雅弘 迫井 正深 渡辺 憲 冨本 秀和 安藤 哲朗 西山 和利 髙橋 良輔 戸田 達史 日本神経学会神経内科専門医基本領域化推進対策本部
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.515-519, 2020 (Released:2020-08-07)
被引用文献数
1 1

日本神経学会は2018年1月臨時社員総会において,神経内科専門医の基本領域化を目指すことを機関決定した.新専門医制度が大きく揺れる中,神経内科専門医基本領域化推進対策本部では,第60回学術大会において,専門医制度に関する緊急シンポジウムを開催した.本論文はその各演者の抄録を委員会報告としてまとめたものである.厚生労働省,日本医師会に所属する演者,及び,学会内の演者によって,基本領域化が必要な理由,特に地域医療との関係,実現するための手続き,克服すべき課題などが論じられた.これらを踏まえつつ,社員総会決定に従って,神経学会は今後も基本領域化を目指して関係各所との折衝を続ける.
著者
井汲 一尋 横井 克典 安藤 哲朗
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.27-31, 2016 (Released:2016-01-29)
参考文献数
30

症例は72歳女性である.2型糖尿病で通院治療中であった.7年前に左肺多発結節影があり精査するも診断に至らず経過観察で縮小した.その後呼吸器症状もなく安定していたが,5ヶ月の経過で認知機能障害と歩行障害が進行し入院し,クリプトコッカス髄膜脳炎と診断された.両足趾右優位にアテトーシス様の不随意運動を認めた.不随意運動はpainful legs and moving toesに極めて類似していたが,疼痛は全くなかった.クリプトコッカス髄膜脳炎で認知機能障害,不随意運動の改善過程を観察した報告は稀であり,貴重な症例であると考えられたため報告する.
著者
川上 治 古池 保雄 安藤 哲朗 杉浦 真 加藤 博子 横井 克典 都築 雨桂
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.51-55, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
15

目的:脳梗塞後はじめて発作を発症した場合,てんかんと診断できるか検討するため,有事率とそのリスク,非誘発性発作の再発率等について多数例を後ろ向きに調査した.方法:当院に入院した脳梗塞急性期(transient ischemic attack;TIAを除く)患者2071名を対象に,けいれん発作発症例を抽出した.年齢,性,皮質病変,Oxford分類,MRIでの深部白質病変等を評価項目とした.結果:脳梗塞発症後,急性症候性発作(acute symptomatic seizure;ASS)は43例で過半数は発症当日であった.非誘発性発作(unprovoked seizure;US)は,100~300日でピークとなるがその後も増加を続け,5年間で73例であった.ASSのリスクは,皮質病変・total anterior circulation infarction;TACI(Oxford分類),USのリスクは,皮質病変・TACI・partial anterior circulation infarction;PACI(Oxford分類)・deep and subcortical white matter hyperintensity;DSWMH(グレード3・4)・75歳未満(多重ロジスティック回帰法)であった.再発性USは,US群74%,ASS群9%と有意にUS群で高かった.初発より抗てんかん薬(antiepileptic drugs;AEDs)を投与すると有意に再発率が減少した.非誘発性発作の重積発作発生率は,AEDs投与群19.6%,非投与群34.3%と有意にAEDs投与群が少なかった.結論:脳梗塞慢性期に初発発作を発症した場合は,てんかんと診断できる.AEDsは,US再発およびてんかん重積状態の予防に有効であり初発USより投与開始を検討する必要がある.
著者
都築 雨佳 安藤 哲朗 杉浦 真 川上 治
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
2021
被引用文献数
1

<p>症例は発症時16歳男性.高校生となり弓道を始めてから両側の三角筋,上腕二頭筋,腕橈骨筋などのC5, 6髄節筋に筋力低下が亜急性に発症した.神経所見では,両側前腕外側の軽微な感覚障害と下肢の索路症候も伴っていた.前屈位の頸椎MRIとCT myelographyにて脊髄が後方硬膜により圧迫する所見を認めたことから,平山病と臨床像は異なるものの同病態の'近位型平山病'と考えられた.弓を射る姿勢である頸部回旋位のCT myelographyでも脊髄圧迫を認めたことから,頸部回旋も脊髄症発現に関与していると考えられた.頸部前屈および回旋の制限のみで上肢の筋力低下と下肢の痙性が改善した.平山病において,頸部前屈に加えて頸部回旋も病態に関与する可能性がある.</p>
著者
安藤 哲朗
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.352-356, 2016 (Released:2016-11-10)
参考文献数
28

The first step in evaluating patients with spinal cord disease is to localize the lesion from the segmental sign. Cervical spondylosis, which can present as radiculopathy and myelopathy, is common in people over the age of 50. It is necessary to assess whether neurological symptoms result from cervical spondylosis or other neurological disorders. In order to avoid misdiagnosis, it is important to compare the levels of the lesions shown on imaging with the clinical findings. Differential diagnosis between amyotrophic lateral sclerosis and cervical spondylosis is an issue of major clinical importance. The cervical spinal cord MR images of spinal cord sarcoidosis sometimes mimics that of cervical spondylotic myelopathy.Spinal dural arteriovenous fistula is a treatable spinal cord disease, however it is still underdiagnosed.