著者
安藤 文紀 鶴 浩幸 北小路 博司
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.308-318, 2020 (Released:2021-10-28)
参考文献数
27

【目的】先進国の鍼の利用や制度を調査し、我が国で鍼が発展する課題を検討する。 【方法】米国・韓国・日本について、pubmed.gov、scholar.google.com、google.comで acupuncture 、regulation、educationなどのキーワードを用いて英語文献と日本語文献を検索した。 【結果】日本の年間鍼灸受療率は減少傾向にあるが、米国の鍼受療者の割合は増加し、韓国は鍼灸を最も利用していた。米国では47州とコロンビア特別区で鍼の法規制が有り、43州と特別区で鍼を医師の業務範囲としていた。2020年から連邦政府は高齢者の医療保険制度で鍼の費用を補償するようになった。韓国では伝統医学である韓医学の制度が法制定され、韓医師が鍼を含む韓医学の保険診療を行っていた。米国では医師1万人が鍼の講習を受け、医師の鍼の学会会員は1,300名以上、2018年の鍼免許保有者は37,886人。2016年の韓医師は23,845人。米国連邦政府は医療保険の適用のため、鍼施術者に鍼の修士課程修了以上の学歴を求め、13州と特別区で医師が鍼を実施するには200時間以上の教育が必要。韓国では高卒後6~7年等の教育により韓医師を育成し、国家試験後4年間の専門医研修プログラムにより鍼灸科専門医を養成している。 【考察・結語】前報を含め調査した6か国の内、医療施設での医行為として鍼を提供しない制度は日本だけであった。海外に比べ日本は医療としての鍼の情報が少なく、国民から鍼が医療として認知されないことが、鍼受療率低下傾向の一因と考えられる。日本の鍼が発展するには次の4つを検討することは重要と考える。1. 医療施設でも鍼を提供し、国民に鍼が医療として認知されること。2. 医療施設で鍼が提供される未来に向けてのはり師の対応。3. 医療施設での鍼の役割。4. 医師・はり師のはり教育。