著者
山中 マーガレット/安藤 義久 安藤 義久
出版者
岐阜女子大学
雑誌
岐阜女子大学紀要 (ISSN:02868644)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.53-57, 2016-01-31

この論文では,「大草原の小さな家」と「チャーリーとチョコレート工場」という二つの小説を日本の外国語教育に取り入れる際の問題点について考察する。「大草原の小さな家」は,19世紀のアメリカ中西部を舞台に,インガル一家がウィスコンシンからカンザスへ移動する際の様々な出来事を描いている。日本人学生にとってのこの作品の難しさは,当時の生活に関する英語の語彙,高校までに教えられていない熟語や擬声語の多さである。特に,アメリカの昔の生活や,日本文化とは異なる文化的語彙の多さのために,小説の理解が難しくなってしまうのである。次に,「チャーリーとチョコレート工場」は,現代を舞台にした空想小説であるので,「大草原の小さな家」のような文化的語彙の多さから生じる難しさはあまり無いが,高校までに教えられていない語彙,熟語,抽象概念のために理解が難しい部分はある。最後に,この二つの教材の中で,どちらが日本の外国語教育で妥当であるかを,筆者達の実践例から示した。