著者
宮崎 友里 重松 潤 大井 瞳 笹森 千佳歩 山田 美紗子 高階 光梨 国里 愛彦 井上 真里 竹林 由武 宋 龍平 中島 俊 堀越 勝 久我 弘典
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.21-017, (Released:2022-10-05)
参考文献数
36

インフォームド・コンセント(Informed Consent: IC)は、心理療法を提供する際にセラピストが道徳的な義務として行うことが必須とされている。一方で、心理療法のICでは多くの場合、心理療法を実施する期間や費用の設定に関する形式的なIC取得が多い。また、心理療法におけるICは、セラピストの治療関係の重要性をよりよく理解するのに役立つといった側面や、心理的な支援のプロセスにおいて大きなバイアスとなる可能性があるなど、心理療法に与える影響について指摘されているが、わが国でそれらを概観した研究はない。そこで本稿では、心理療法におけるICの現状や研究動向について述べたのち、IC取得が困難な場合の対応や国内施設における心理療法のIC取得に関する現状を報告し、心理療法のICの理解を深めることを目的とする。
著者
池田 伸 宋 龍平 来住 由樹
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.347-354, 2019-03-15

はじめに 近年の人工知能(artificial intelligence:AI)技術の発展には目を見張るものがある。「第3次AIブーム」とも言われ,産業や科学のみならず,芸術,金融,行政,司法,軍事など人間社会のおよそあらゆる領域において,その利活用が模索され始めている。 医療も当然ながらこの趨勢と無縁ではない。国内では,厚生労働省の「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会報告書」(2017年6月27日)6)において,6つの重点領域として,①ゲノム医療,②画像診断支援,③診療・治療支援,④医薬品開発,⑤介護・認知症,⑥手術支援が挙げられており,精神科領域についても,AI技術を用いることで診療の精度が向上し得る可能性があると言及されている。 では,現在の精神科医療において,実際どの程度までAI技術の利活用が進んでいるのであろうか。試みにPubMed上でAI関連のキーワードを用いて検索を実行してみると,ヒットする論文の数は年々増加しており(図1),精神科においてAI技術の活用が確かに浸透しつつあることが窺える。 本稿では,まず精神科におけるAI活用の現状を把握する目的で,PubMedにおいて2017年に公開された論文のうち,精神科領域におけるAI活用に関連するものを選別し,扱われている臨床事象,解析対象となったデータの種類,AI活用の目的,活用されたAI技術などについて分類と集計を行う。次いで,AI活用に関連する現在の諸課題と今後の展望についても考察する。