著者
宮崎 友里 重松 潤 大井 瞳 笹森 千佳歩 山田 美紗子 高階 光梨 国里 愛彦 井上 真里 竹林 由武 宋 龍平 中島 俊 堀越 勝 久我 弘典
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.21-017, (Released:2022-10-05)
参考文献数
36

インフォームド・コンセント(Informed Consent: IC)は、心理療法を提供する際にセラピストが道徳的な義務として行うことが必須とされている。一方で、心理療法のICでは多くの場合、心理療法を実施する期間や費用の設定に関する形式的なIC取得が多い。また、心理療法におけるICは、セラピストの治療関係の重要性をよりよく理解するのに役立つといった側面や、心理的な支援のプロセスにおいて大きなバイアスとなる可能性があるなど、心理療法に与える影響について指摘されているが、わが国でそれらを概観した研究はない。そこで本稿では、心理療法におけるICの現状や研究動向について述べたのち、IC取得が困難な場合の対応や国内施設における心理療法のIC取得に関する現状を報告し、心理療法のICの理解を深めることを目的とする。
著者
竹林 由武
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.708-714, 2021 (Released:2021-12-01)
参考文献数
16

近年,心理社会的介入の効果を評価するデザインとして心理学のさまざまな分野で古くから用いられてきた,Single-Case Experimental Design(SCED)が再注目されている.本稿では,SCEDが再注目される理由について,エビデンスレベルの再評価と研究手法の発展の観点から論じた.そして,統計分析手法として非重複率に基づく指標に焦点を当て,算出方法の解説をした.具体的には,PND,PEM,IRD,NAP,Tau-Uの計算方法について説明した.また,それらの解釈基準についても説明した.
著者
竹林 由武
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.21-024, (Released:2022-05-31)
参考文献数
24

シングルケース実験デザイン(single-case experimental design: SCED)は、個人や集団に実施した介入の有効性評価に用いられる研究デザインの一つである。本稿では、SCEDの代表的な有効性評価法である視覚分析の概要と信頼性に関する問題を述べたうえで、視覚分析を補助する代表的な方法を解説する。具体的には、視覚補助を用いて構造化された視覚分析手法と統計指標を用いた方法について述べる。個人内効果の統計指標は、重複率に基づくTau系指標、フェーズ間の平均値差や対数反応比、回帰モデルに基づく方法を紹介する。個人間効果の統計指標として、階層線形モデルに基づく個人間標準平均値差や個人内効果指標のメタ分析的な統合手法を紹介する。最後に多様な統計指標から適切なものを選択するための指針を議論し、視覚分析と統計指標を簡便に算出できるソフトウェアやウェブアプリを紹介する。
著者
村中 誠司 竹林 由武
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.20-026, (Released:2021-06-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究では、本邦における遠隔心理支援研究の方向性を明らかにするために、Structural Topic Model(STM)で論文のアブストラクトを解析して海外の遠隔支援研究に関するトピックを抽出した。遠隔心理支援は情報技術などを活用した支援形態であり、電話やテレビ会議システム、テキストメッセージなどさまざまな形で提供されている。遠隔支援は自宅からでも支援サービスが受けられる点で有用であるが、対面支援と比較した遠隔支援の有効性は未だ不明瞭である。遠隔心理支援サービスの拡充を有効に進めるために、まずは遠隔支援に関する検討課題の整理が求められる。遠隔支援に関する578件の論文のアブストラクトをSTMで解析し、ワードクラウドとトピックの出現確率とその経年変化を確認した。その結果、モバイルアプリを活用したうつや不安への支援に関する検討が優先され、その他支援者へのサポートや予防的介入の必要性が示された。
著者
河村 麻果 入江 智也 竹林 由武 関口 真有 岩野 卓 本谷 亮 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.191-202, 2020-09-30 (Released:2020-12-23)
参考文献数
29
被引用文献数
1

セラピストが認知行動療法を効果的に実施するためには、クライエントとの良い治療的関係が必要である。そのなかでも特にアライアンスの質の向上が重要視されている。WAI-SRは、アライアンスを測定するうえで適切な心理測定的ツールであることが明らかとなっているが、その日本語版は作成されていない。そこで本研究では、WAI-SRの日本語版(J-WAI-SR)を作成し、その信頼性と妥当性を検討した。その結果、J-WAI-SRは3因子構造と捉えることが妥当であると判断した。収束的妥当性については、日本語版セッション評価尺度との間に想定されたとおりの強い正の相関があった。信頼性については、内的整合性(α=.93, .96)について十分な値が得られ、再検査信頼性についても、許容範囲内の値が得られた(ICCagreement=.75)。以上のことから、J-WAI-SRは一部の信頼性と妥当性が確認された。
著者
竹林 由武
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.167-175, 2014-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

観察研究は、無計画に実施すると研究成果の解釈が困難になることが多い。観察研究によって有意味な知見を産出するためには、研究段階で測定誤差や交絡を最小にする必要がある。観察研究の報告法のガイドラインであるSTROBE声明(Strengthening the Reporting of OBservation studies in Epidemiology statement)は、有意味な知見を得るための研究計画を立てる一助となる。本稿では、STROBE声明に準拠し、観察研究の研究計画段階で留意すべき事項((1)研究目的の明確化、(2)研究を実施する科学的背景と論拠の説明、(3)例数設計の実施、(4)信頼性と妥当性のある測定指標の選択、(5)交絡要因の測定)の解説と、その具体的な記載事例を紹介することを目的とする。
著者
井上 和哉 佐藤 健二 横光 健吾 嶋 大樹 齋藤 順一 竹林 由武 熊野 宏昭
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.101-113, 2018-05-31 (Released:2019-04-05)
参考文献数
34
被引用文献数
2

本研究では、スピーチ場面に対するウィリングネスの生起には、価値の意識化のみで十分であるか、それとも、価値の意識化の前に創造的絶望を付加することが必要であるかを検討した。社交不安傾向者の学生22名を創造的絶望+価値の意識化群、価値の意識化のみ群、統制群の3群に割り当て、介入効果の比較を行った。価値の意識化のみ群、統制群には創造的絶望を実施せず、回避行動が一時的に有効であることを話し合った。介入から一週間後のスピーチ課題時に、創造的絶望+価値の意識化群、価値の意識化のみ群には価値を意識させ、統制群には価値を感じないものを意識させた。その結果、創造的絶望+価値の意識化群のスピーチ場面に対する前向き度が統制群より増加した可能性が示された。また、創造的絶望+価値の意識化群のスピーチ場面から回避したい度合いが他群より減少した可能性が示された。
著者
竹林 由武
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.145-154, 2022-05-31 (Released:2022-07-28)
参考文献数
24

シングルケース実験デザイン(single-case experimental design: SCED)は、個人や集団に実施した介入の有効性評価に用いられる研究デザインの一つである。本稿では、SCEDの代表的な有効性評価法である視覚分析の概要と信頼性に関する問題を述べたうえで、視覚分析を補助する代表的な方法を解説する。具体的には、視覚補助を用いて構造化された視覚分析手法と統計指標を用いた方法について述べる。個人内効果の統計指標は、重複率に基づくTau系指標、フェーズ間の平均値差や対数反応比、回帰モデルに基づく方法を紹介する。個人間効果の統計指標として、階層線形モデルに基づく個人間標準平均値差や個人内効果指標のメタ分析的な統合手法を紹介する。最後に多様な統計指標から適切なものを選択するための指針を議論し、視覚分析と統計指標を簡便に算出できるソフトウェアやウェブアプリを紹介する。
著者
高田 圭二 田中 圭介 竹林 由武 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-49, 2016-07-01 (Released:2016-06-04)
参考文献数
48
被引用文献数
1 2

本研究はマインドフルネスとwell-beingの関連を調整する要因として注意の制御に着目し,注意の制御がマインドフルネスとwell-beingの関連に与える影響を,大学生145名を対象に検討した。分析の結果,Subjective well-being(SWB)を目的変数とした場合,マインドフルネスの体験の観察と注意の制御の主効果が有意だった。Psychological well-being(PWB)を目的変数とした場合,マインドフルネスの体験の観察,描写,反応しない態度と注意の制御の主効果が有意だった。また注意の制御による調整効果が示され,体験の観察は注意の制御が高いとSWBを高めた。さらに描写も注意の制御が高いとPWBを高めた。以上の結果から,体験の観察がSWBを促進するには体験を万遍なく観察する必要があり,そのためには柔軟な注意の制御が必要だと考えられる。そして,描写がPWBを促進するには内的な体験を的確に言語化する必要があり,注意の制御が高い場合に言語化が的確になると考えられる。
著者
宗 未来 関沢 洋一 竹林 由武
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回 (2017)
巻号頁・発行日
pp.2J3OS16b2, 2017 (Released:2018-07-30)

近年、うつ病に対する自習型eラーニング(iCBT)のエビデンスが蓄積し、英国では公的医療にも採用されている。本研究では、自然言語処理により①入力された悩みに共感提示や②自習に有用な指導、の機能付iCBTの抑うつ者における効果を無作為統制試験により検証した。結果、有意な脱落低下や軽うつ者の長期抑うつ悪化予防が示唆された反面、短期的効果では従来型に劣るというものであった。
著者
竹林 由武 高垣 耕企 広瀬 慎一 大野 哲哉 小幡 昌志 川崎 友也 シールズ 久美 杉浦 義典 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.145-154, 2013-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、不安障害・大うつ病性障害の脆弱性と指摘されている「嫌悪的な事象に対するコントロールの知覚」を測定するAnxiety Control Questionnaire(ACQ)の日本語版を作成し、その妥当性を検討することであった。385名の大学生がACQ日本語版とそのほかの指標に回答した。探索的因子分析の結果、ACQ日本語版は「嫌悪的な刺激や状況に対するコントロールの知覚」と「不快な感情/身体感覚に対するコントロールの知覚」からなる2因子パタンであることが示された。ACQ日本語版は、高い内的整合性と再検査信頼性を示し、抑うつ・不安症状と負の相関、内的統制と正の相関があった。また、過剰な心配を統制した場合に、ACQ日本語版は不安症状との有意な負の相関を維持したが、抑うつ症状との相関は弱くなった。以上から、ACQ日本語版は、十分な信頼性と妥当性の一部をもつ尺度であることが明らかになった。
著者
竹林 由武
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.86-100, 2018 (Released:2019-07-11)
参考文献数
26
被引用文献数
2

Clinical trials are prospective studies that evaluate the effectiveness of interventions on humans under certain circumstances. The frequentist approach in which the sample size is strictly controlled before tests is common in clinical trials. However, clinical trials that use an adaptive Bayesian method in which the trial can be flexibly stopped, based on data accumulated during the course of the trial, has been recommended to reduce costs and to meet ethical requirements in the fields of medicine and medical device development. In the field of psychological interventions, the current situation is that application based on Bayesian framework is often extremely poor. Therefore, this paper outlines the design method of clinical trials by the adaptive Bayesian method, discusses the benefits of and problems in its application to psychological intervention research, and provides examples of its virtual application.
著者
田中 圭介 杉浦 義典 竹林 由武
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.146-155, 2013-11-30 (Released:2013-12-04)
参考文献数
34
被引用文献数
1 2

マインドフルネスとは,“今ここでの経験に,評価や判断を加えることなく,能動的に注意を向けること”として定義される自己の体験に対する特殊な注意の向け方である。マインドフルネスの個人差を規定する要因として,注意機能の関連が指摘されている。しかし,注意機能のどの側面が,どのような交互作用でマインドフルネスに関連するのかについては,これまで明らかにされていない。本研究では,大学生を対象にAttention Network Test(Fan et al., 2002)とマインドフルネス傾向(Baer et al., 2006)を測定した。階層的重回帰分析の結果,注意の喚起機能が低い時には,注意の定位機能はマインドフルネスと正の関連を示す一方で,喚起機能が高い場合には,定位機能はマインドフルネスと負の関連を示した。これらの結果は,マインドフルネスの個人差の規定因として,注意機能を交互作用から捉える必要性を示唆する。