著者
池田 伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2N5J1303, 2019 (Released:2019-06-01)

本発表の目的は,精神医学におけるAI活用の現状を俯瞰することである。医学論文サイトであるPubMedでの検索によれば,精神科領域におけるAI関連の論文数は年々大きく増加しており,この分野でもAIの活用が徐々に浸透しつつあることが窺われる。研究対象は多彩であるが,「抑うつ」「統合失調症」「アルツハイマー病」など,精神科の主要な障害が順当に多数を占めている。一方,用いられているAI技術はほとんどが機械学習で,サポートベクターマシン,ランダムフォレスト,ロジスティック回帰などが頻用されており,ディープラーニングを活用した研究はいまだ少数にとどまっている。AI技術は,精神科の診療の質を向上させるだけでなく,これまで客観性の面で不十分であるとの批判を免れなかった精神医学の理論的基盤そのものを新たなパラダイムへと導く可能性を有している。精神科におけるAI活用を推進するためには,臨床医とエンジニアとの協働,および個人情報保護にも配慮した社会環境の整備が必須である。
著者
池田 伸 宋 龍平 来住 由樹
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.347-354, 2019-03-15

はじめに 近年の人工知能(artificial intelligence:AI)技術の発展には目を見張るものがある。「第3次AIブーム」とも言われ,産業や科学のみならず,芸術,金融,行政,司法,軍事など人間社会のおよそあらゆる領域において,その利活用が模索され始めている。 医療も当然ながらこの趨勢と無縁ではない。国内では,厚生労働省の「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会報告書」(2017年6月27日)6)において,6つの重点領域として,①ゲノム医療,②画像診断支援,③診療・治療支援,④医薬品開発,⑤介護・認知症,⑥手術支援が挙げられており,精神科領域についても,AI技術を用いることで診療の精度が向上し得る可能性があると言及されている。 では,現在の精神科医療において,実際どの程度までAI技術の利活用が進んでいるのであろうか。試みにPubMed上でAI関連のキーワードを用いて検索を実行してみると,ヒットする論文の数は年々増加しており(図1),精神科においてAI技術の活用が確かに浸透しつつあることが窺える。 本稿では,まず精神科におけるAI活用の現状を把握する目的で,PubMedにおいて2017年に公開された論文のうち,精神科領域におけるAI活用に関連するものを選別し,扱われている臨床事象,解析対象となったデータの種類,AI活用の目的,活用されたAI技術などについて分類と集計を行う。次いで,AI活用に関連する現在の諸課題と今後の展望についても考察する。
著者
池田 伸
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本発表の目的は,精神医学におけるAI活用の現状を俯瞰することである。医学論文サイトであるPubMedでの検索によれば,精神科領域におけるAI関連の論文数は年々大きく増加しており,この分野でもAIの活用が徐々に浸透しつつあることが窺われる。研究対象は多彩であるが,「抑うつ」「統合失調症」「アルツハイマー病」など,精神科の主要な障害が順当に多数を占めている。一方,用いられているAI技術はほとんどが機械学習で,サポートベクターマシン,ランダムフォレスト,ロジスティック回帰などが頻用されており,ディープラーニングを活用した研究はいまだ少数にとどまっている。AI技術は,精神科の診療の質を向上させるだけでなく,これまで客観性の面で不十分であるとの批判を免れなかった精神医学の理論的基盤そのものを新たなパラダイムへと導く可能性を有している。精神科におけるAI活用を推進するためには,臨床医とエンジニアとの協働,および個人情報保護にも配慮した社会環境の整備が必須である。
著者
齋藤 雅通 池田 伸 土居 靖範 近藤 宏一 谷口 知弘 棚山 研
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

調査に基づく共同研究の結果、研究論点として、ドイツの各都市でNPO法人によって推進されている都市マーケティング(Stadtmarketing)の重要性を析出した。また都市マーケティングは、都市型サービス産業が直面している課題の解決の一視点でもあると結論づけた。この点を具体的に明らかにするために2005年2月および9月に、マンハイム及びケルンの都市マーケティングNPO及び商工会議所、市役所(スポーツ局、文化局)、地域スポーツNPO等関連団体へのインタビューと資料収集を実施した。都市マーケティングのより深い究明については、今後も継続して研究する課題である。各メンバーによる研究としては、(1)齋藤雅通は、ドイツにおける都市型の小売商業集積であるパサージュの実態調査に基づいて理論的可能性と限界を明らかにした。(2)土居靖範は、ドイツのケルンおよびカールスルーエの都市交通経営体や運輸連合の調査を行い、財源調達のしくみを主に解明した。またLRTの国内への導入を、具体的にJR富山港線のLRT化の経緯と課題を調査研究した。(3)近藤宏一は、主にドイツにおける都市公共サービス、とりわけ文化・芸術関連サービス(オーケストラ、歌劇場、美術館)と観光および公共交通にかかわる組織の現状と課題について調査と資料収集を行った。(4)棚山研は、サッカーの日韓W杯開催時から開催地である新潟の継続調査と調査データの整理を行った。併せて、2度にわたるドイツのスポーツクラブの調査を通じて、日独のスポーツクラブの運営、生活文化への定着度についての比較を試みた。(5)池田伸は、現代都市における消費者研究およびそれに係わる調査方法論について、社会統計学や文化人類学などの周辺領域の成果を含めて検討した。その結果,現代都市のポストモダニティをマーケティング(消費者行動)の社会学として構想するにいたった。(6)谷口知弘は、京都市出町地域の取り組みの現地調査に基づいて、市民参加のまちづくりについて論究した。
著者
野村 亨 WOLLNIK H. MEUSER S. ALLARDYCE B. SUNDEL S. 稲村 卓 RAVN H. 中原 弘道 松木 征史 HANSEN G. D'AURIA J.M. 永井 泰樹 篠塚 勉 藤岡 学 和田 道治 池田 伸夫 久保野 茂 川上 宏金 福田 共和 柴田 徳思 片山 一郎 NITSCHKE J.M BARNES C.A. KLUGE W.K. BUCHMANN L. BARMES C.A. MEUSEV S. D´AURIA J.M. SUNDELL C.
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

本研究の目的は,原子核反応で生成するさまざまな短寿命の不安定核種を,その場で分離・選別し,さらに加速して二次ビ-ムとして実験に供する技術の開発とそれによる先駆的研究の実施であった。上記の実験技術は,現在世界的に注目されている先端的技術で,原子核物理学と関連基礎科学分野に全く新しい研究手法を導入するものと期待されている。本研究では,以下の研究課題を設定し,東大核研を軸にして,欧米の主な関係大学・研究所と共同開発・研究を実施した。その成果は,国際会議等に発表するとともに,論文として雑誌に報告されている。A.大効率・高分解能オンライン同位体分離器(ISOL)の開発・・・不安定核のその場分離・選別(ア)大効率ISOLイオン源の開発CERN(スイス)とTRIUMF(カナダ)等と共同開発を実施。表面電離型,FEBIAD型,ECR型イオン源を試作し,さまざまな不安定核原子のイオン化効率を測定。その結果を踏まえてイオン源の改良を行った。アルカリ金属元素については40%以上の大効率イオン化に成功した。また,ビ-ムバンチングについても成功した。(イ)超高質量分解能ISOLの光学計算M/ΔM【greater than or similar】20,000のISOLイオン光学系の設計を,東大核研・東北大・ギ-セン大学(独)の共同研究として実施。機械精度や放射線ハンドリングの観点から,そのフィ-ジビリティを検討。その成果は,東大核研の不安定核ビ-ムファシB.不安定核ビ-ムの加速技術の開発(ア)世界の現状の調査・検討不安定核ビ-ムの加速は,唯一例としてベルギ-の新ル-バン大学でサイクロトロンによって試験的に実施されている。そこでの現状を調査の上,CERN(スイス),GANIL(仏),TRIUMF(カナダ)等の加速計画を吟味し,種々の加速器の長所・短所を明らかにした。この結果は次の(イ)に反映されている。(イ)分割同軸型RFQリニアックの開発電荷質量比の極めて小さい,入射エネルギ-の非常に低い重イオンリニアックの設計・開発を東大核研で行った。そのさい,GSI(独)とTRIUMF(カナダ)の研究者に詳細な検討・批判をあおいだ。試作した分割同軸型RFQリニアックは順調に稼動し,世界的な注目を集めている。C.不安定核ビ-ムによる核物理・天体核物理学の研究(ア)レ-ザ-による不安定核の精密核分光GaAs,AlGaInPなどの固体結晶中に, ^<75>Br, ^<114m>In等の不安定核を打ちこみ,レ-ザ-による光ポンピングにより,娘核( ^<75>Seや ^<114>In)のスピン偏極を実現した。固体中の不安定核のスピン偏極は世界的に稀な成功例である。さらに,RADOP法により,娘核の核磁気能率を精密に測定した。これは,CERN(スイス)との共同研究である。(イ)不安定核の天体核反応率の測定東大核研・理研・GANIL(仏)との共同研究として宇宙における重元素合成機構において,不安定核の天体熱核反応に役割の研究を実施。 ^<13>Nの熱核反応率の測定に成功した。上述の研究成果の多くは,平成3年度に開催された国際会議(原子核・原子核衝突に関する第4回会議,於金沢;第2回放射性核ビ-ム国際会議,於新ル-バン大学[ベルギ-];第12回EMIS会議,於仙台等)の招待講演として発表されている。また,国際誌等に論文として報告した。本研究成果は国際的な反響をよび,東大核研の研究プロジェクトにその結果が活用されたばかりでなく,CERN(スイス),TRIUMF(カナダ),LANL(米)等の研究所から共同研究が期待されている。
著者
相良 建至 寺西 高 池田 伸夫 橋本 正章
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

星の進化シナリオの解明には、低いエネルギーEcm=0.3MeVでの炭素-ヘリウム核融合確率が不可欠であるが、その測定は非常に難しく未だ誰も成功していない。本研究では、世界最厚さの膜無し気体標的を開発し、バックグランドを炭素ビームより15桁低減して、炭素-ヘリウム核融合確率を世界で最も低いEcm=1.5MeVで測定した。我々の目標は、Ecm=0.7MeVまで測定し、結果を外挿してEcm=0.3MeVでの確率を求めることである。その準備研究も行った。