著者
立川 康人 太田 裕司 宝 馨
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.B-2, pp.267-275, 2001-04-01

東海豪雨によって名古屋市天白区野並地区で発生した浸水被害を対象とし, 浸水状況を再現するシミュレーションモデルを構築した.次に, このモデルを用いて, いくつかの想定シナリオのもとでの浸水シミュレーションを行い, 浸水被害の原因や対策について考察した.その結果, 計画規模を越えるような豪雨に対処するためには, 排水のネットワーク構造を考えた対策を考えねばならないことが明らかとなった.
著者
立川 康人 宝 馨 田中 賢治 水主 崇之 市川 温 椎葉 充晴
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.139-151, 2002-03-05 (Released:2009-10-22)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

筆者らがこれまでに開発してきたマクログリッド型流出モデルを淮河流域に適用し,GAME強化観測期間(1998年5月1日~8月31日)の流量シミュレーションを行った.モデルへの入力データには田中らによって作成された毎時5分グリッドの水文データセットを用いた.このデータセットは,1998年の強化観測期間に取得された気象・水文観測データと鉛直一次元の陸面過程モデルSiBUCとを用いて作成されたものである.実測流量と計算流量とを比較したところ,下流域ほど計算流量は観測流量よりも小さく算定されることがわかった.この原因として,用いたデータセットの蒸発散量が過大評価されていること,ダムなどによる人為的な流水制御をモデルで考慮していないことなどが考えられるが,今後の検討を要する.また,河川流量の再現シミュレーションの過程で,河道流追跡モデルが大河川流域の河川流量を予測する上で果たす効果を示した.
著者
立川 康人 フヌクンブラ ピービー 宝 馨
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.112-112, 2007

KsEdge2Dモデルは京都大学で開発された分布型流出モデルの一つであり,国内の多数の流域で研究され,適用されてきた。この分布型流出モデルは国土地理院が提供する国土数値情報を利用することを前提として開発されているため,そのままでは国外の流域に適用することは難しい。そこで本研究では,KsEdge2Dモデルを地球上のあらゆる陸域に適用することを可能とするために,グローバルに適用可能な地形情報を加工して,KsEdge2Dモデルのための地形情報と河道情報を作成する前処理プログラムDEM-V0-Makerを開発した。タイ国のMae Chaemを対象として,前処理プログラムDEM-V0-Makerが適切に動作することを確認した。これにより,あらゆる国際流域においてKsEdge2Dモデルを適用することが可能となった。この流域でKsEdge2Dモデルを適用し,観測流量を適切に再現することを確認した。