著者
鈴木 美花 室 雅子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.251, 2017 (Released:2017-07-08)

目的:近年、様々な職業で女性の活躍が見られるが、現実の社会では「男性の職業」「女性の職業」といったジェンダーに基づく男女の職業イメージは今でも存在する。 学校は男女が平等に扱われるべき場であるが、学校で使用される教科書も同様であると考えられる。ではその毎日子どもたちが目にする教科書の中の職業人の挿絵は、男女等しく描かれているのであろうか。本研究では小学校教科書に描かれた職業の挿絵に着目し、1人の小学生が6年間で目にする教科書には男女がどのような割合で描かれているのかを明らかにすることを目的とした。 方法:愛知県の西三河地区に通う現在小学6年生である児童が、これまで6年間で使用してきた全教科の教科書51冊を分析対象とし、教科書に描かれた職業従事者を全体、職業分類別、職業別、教科別、学年別に比較、検討した。 結果:全教科書における職業従事者の挿絵は男性65%、女性27%で男性の方が2倍以上多く、職業の種類は男性102種類、女性67種類で男性がより多くの職業で描かれていた。職業分類別では女性の割合が50%を超える職業はなく、「建設・採掘業」では女性の働く挿絵がなかった。「保健」以外の9教科では男性の方が多く、すべての学年でも男性の方が多く描かれていた。これらのことから、教科書の挿絵であるにもかかわらず、職業に携わる人の挿絵は男女等しく描かれているとは言えず偏りがあることが明らかとなった。
著者
吉本 敏子 小川 裕子 星野 洋美 室 雅子 安場 規子 吉岡 吉江 吉原 崇恵
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, 2014

<目的>家庭科の学習は、基礎的・基本的な学習が実生活の場面で実践できる力となることを目指している。そこで、日常の具体的な生活場面を想定し課題解決ができる力がどの程度身についているかを把握するための調査を行った。本調査の設計については、日本家庭科教育学会2013年度例会にてすでに報告をしている。調査の内容は、消費生活・環境、食生活、衣生活、住生活、家族・家庭生活の5つ問から構成されているが、今回報告するのは、消費生活・環境に関する結果である。<方法>調査時期:2013年3月~10月調査対象者:愛知県、静岡県、三重県の中学校1年生(小学校6年生を含む)298名、高等学校1年生(中学校3年生を含む)456名、大学1年生567名調査方法:質問紙法による集合調査 回収率:100 分析方法:1)回答の記述内容を読み取り、データベースを作成した。2)そのデータを集計(エクセル統計、&chi;<sup>2</sup>検定)し考察した。<結果> 消費生活・環境の調査内容は、インターネットを利用して靴を購入する場合の代金の支払いと、靴のサイズが合わないというトラブルが発生した時の対応の仕方、およびこれまで履いていた靴の処理の仕方について回答を求めている。そしてこの調査内容から読み取りたい内容を、a)靴の購入にかかる費用が分かり、情報を正しく読み取ることができる、b)インターネット上の情報から、返品交換の可否や条件が理解でき、その情報を基にトラブルへの対応ができる、c)モノを大切にする気持ちや環境への配慮ができる、の3つとした。aとbは、科学性(知識・技能の応用力)を、cは生活合理性(状況把握、姿勢や態度、価値観)を読み取ることができると考えた。 調査の結果は以下の通りであった。1)インターネットを通じて商品を購入した経験のある者は、中学生41.9%、高校生68.2%、大学生78.0%であった。2)靴の購入価格(販売価格+送料+振込手数料+後払い手数料)の正答率は、中学生45.6%、高校生41.7%、大学生52.6%であった。高校生は中学生に比べて正答率が低く、特に高校生男子の正答率は34.0%と低かった。振込手数料や後払い手数料が計算されていないと思われる誤答が多くあった。3)「靴のサイズが合わないというトラブルが生じた場合にどのように対応するか」(本調査の設問では返品交換ができる)については、「返品・交換ができることがわかり、自分で返品・交換をする」と回答したものが最も多く、中学生で80.5%、高校生で83.3%、大学生で87.1%であった。次に多かったのは「少しくらい小さくてもしばらく我慢して履く」であった。4)「今まで履いていた靴をどうするか」という問に対して最も多かった回答は、「友人や知人にあげる」で、中学生34.2%、高校生28.7%、大学生32.8%であった。その他にも「フリーマーケットに出す」「弟が履けるようになるまで取っておく」「予備の靴や思い出の靴として、しまっておく」「雨の日や作業などのときに履く」「放置する」「ごみとして捨てる」など多様な意見が出されていた。以上の結果から、科学性すなわち課題解決のために知識や技能を総合して活用できる力は、発達段階に応じて徐々に身についてきているが、大学生においても十分であるとは言い難い。また「今まで履いていた靴をどうするか」に見られた多様な回答は、モノを大切にする気持ちや環境への配慮という生活合理性に基づくものであるのかについて慎重な検討が必要である。
著者
蟹江 教子 室 雅子 牧野 カツコ
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本では、少子化、核家族化、ひとり親家庭の増加、女性の社会進出などを背景に、家庭や地域の保育力・教育力が低下している。そのため、子どもを養育する家庭への支援強化が求められており、保育者の仕事も、多様化、高度化、専門化している。保育者の専門性を高めるためには、大学での教育はもちろん、就職した後も、研修体制を整え、キャリアアップできるようにしなければならない。そこで、幼稚園や保育園の園長、幼稚園教諭や保育士を対象に、研修の実態について明らかにし、より良い研修体制の在り方について検討した。