著者
佐藤 滋一
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
那須大学都市経済研究年報 = Nasu University the annual report of urban and regional economic studies (ISSN:13475002)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.75-88, 2003

ドイツ語圏のオペラハウスヘの公的助成の分析を始めるに当たり、まず前提となる基本的な分析を行う。ドイツ語圏ではオペラハウスを含む公的な劇場は都市の構成要素として重要な役割を果たしており、多額の公的支出が行われている。ドイツでは、主として州や自治体の助成が行われており、入場券の収入をはるかに上回る額が助成されている。支出のうち、最も大きいのは、人件費である。オーストリアにおいてはドイツと異なり、主要な劇場では連邦政府が援助を行っている。スイスでは連邦政府が補助を行っておらず、所在地の自治体の援助が行われている。
著者
加藤 邦子 牧野 カツコ 井上 清美 間野 百子 間野 百子 藤原 佳典
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

子育て支援施設を利用する未就学児をもつ親(約1300名)を対象として,配偶者以外で育児を助けてくれる人とどのような関係を築いているか,関係構築がどのように親子関係に影響を及ぼすかプロセスを検討した。配偶者以外で育児を最も手助けしてくれる人が,親族の場合は,その関係が良好であるほど,友人と育児に関するコミュニケーションが多くなり,子育て支援施設で気軽に相談したり助けてくれる人との関係も良好で,親子関係が円滑化するというプロセスが検証された.一方配偶者以外で育児を助ける人が非親族か該当者がいない場合、子育て支援施設で気軽に相談したり助けてくれる人との関係を築き、親子関係を支える必要が示唆された。
著者
里居 和義
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
宇都宮共和大学論叢 (ISSN:18814646)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-8, 2007

Social Capitalはそのまま訳せば「社会資本」であるが、日本語では既に社会資本という言葉には別の意味があるので、「社会的資本」「社会関係資本」「社会的関係資本」などと訳され定訳はない。従ってここでは「ソーシャル・キャピタル」としておく。ちなみに、社会資本とはハーシュマンが使ったindirect productive capitalにもとづく造語であると宮崎勇が述べている。[宮崎2005 P112]私的なものに限定して使われていた「資本」という概念が社会的なものに拡張されたときに、アメリカでは「人と人との関係」に結びつけられ、日本では「限りなく官に近いもの」に結びつけられたということは「社会」とか「公」というものに対する考えかたの違いをあらわしていて面白い。
著者
浜田 利満 夫 光植 浜田 孝子 元 種彬
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
那須大学論叢 (ISSN:13455788)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-18, 2005

本研究は東アジアにおける茶に関する調査を通じ、そこに共通する思考を明らかにしようとするものである。文献調査により、日本、韓国、中国の茶の精神的な部分に多くの共通点があることを明らかにした。そして、韓国の茶の中心である全羅常道を現地調査し、それらをさらに確かめた。茶のもつ「安らぎ」という薬効が、茶と自然とのかかわりにおいて重要な要素となっている。しかし、茶の持つ自然との共生、共存の思考は、単に自然とかかわるだけでなく、東洋的思想の中核に茶が位置することを示唆している。茶による東洋的思想の広がり、とくに西洋への広がりを今後の茶の在り方として提案する。
著者
高丸 圭一 松田 勇一
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
宇都宮共和大学論叢 (ISSN:18814646)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.49-68, 2008

本論文では、栃木方言イントネーションの主要な特徴の一つである聞き返し型疑凹形を対象として、ピッチパタンの検討を行った。まず、先行研究に基づいて、栃木イントネーションにおける聞き返し型疑問形ピッチパタンの仮説モデルを作成した。次に、標準語で発話された聞き返し型疑問形音声のピッチパタンを、音声分析ソフトウェアpraatを用いて仮説モデルに従って加工し、音声の再合成を行った。この加工音声を聴取し、栃木方言としての自然性の評価を行った。多くの例では仮説モデルで適切に表現できることが明らかになった。一方、句末モーラの持続長、バラ言語の表出等に開運して、モデルの更なる検討が必要であることが示唆された。
著者
高丸 圭一
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,無アクセント地域である北関東,特に栃木県を対象として,自由会話音声を収集し,ピッチパタンの基礎分析を行った上で,現在のアクセントとイントネーションの様態について分析を行った。無アクセント方言の特徴的なイントネーションである句末・文末における尻上がり調の出現位置の傾向は標準語と大きな違いがなく,尻上がり調の出現頻度は標準語の上昇調・昇降調の出現位置と比べて顕著に多いとはいえないことを指摘した。文末のピッチ上昇の度合いを変化させた加工音声による聴取実験により,無アクセント方言の尻上がり調は標準語の上昇調と比べて,上昇の度合いが急峻であることが明らかになった。また,単語アクセントと若年層が用いる同意要求表現「じゃね?」先行部のアクセントについての調査を行った。単語アクセントは若年層の約90%が標準語化している一方,「じゃね?」の先行部は80%以上が平板化しており,当該地域での近年のアクセントの変容が明らかになった。
著者
蟹江 教子 室 雅子 牧野 カツコ
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本では、少子化、核家族化、ひとり親家庭の増加、女性の社会進出などを背景に、家庭や地域の保育力・教育力が低下している。そのため、子どもを養育する家庭への支援強化が求められており、保育者の仕事も、多様化、高度化、専門化している。保育者の専門性を高めるためには、大学での教育はもちろん、就職した後も、研修体制を整え、キャリアアップできるようにしなければならない。そこで、幼稚園や保育園の園長、幼稚園教諭や保育士を対象に、研修の実態について明らかにし、より良い研修体制の在り方について検討した。
著者
須賀 英之
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
那須大学都市経済研究年報 = Nasu University the annual report of urban and regional economic studies (ISSN:13475002)
巻号頁・発行日
pp.72-85, 2001

NTTのタウンページの索引をみると、職業の数が3000件をこえており、とてもバラエティにとんでいて興味が尽きない。はじめて職業別電話帳が発行された1951年には約500件だったが、その後、時代の変遷にあわせて追加や改編がなされてきた。たとえば、1975年には、ガードマン、おにぎり屋、テレホンサービスが登場し、ミルクホール、輪タク、テレビ俳優が廃止されている。最近では、インターネット・プロバイダー、債権回収業、中等教育学校(中高一貫教育校)などが新しく掲載された。栃木県のタウンページは県域を南北にわけて二分冊だが、東京23区は五分冊で合計3万ページもある。タウンページから、都市には、さまざまなサービスが成立し、いかに企業の活動や個人の生活を支えているかがよくわかる。いわゆる三次産業だけでなく、スーパーのチラシの印刷やコンビニ弁当の食品加工などの工場も、都市ならではの産業である。都市の利便性を求めて人口が集中し、これらの人々を対象として、さらに新たな産業が勃興する。こうした、従来の伝統的な産案分順におさまらない、都市を市場基盤とする多様な産業を、「都市型産業」とよぶことができる。タウンページは、近年、インターネットでも利用できるデジタル情報サービスがとても充実した。これを使って、それぞれの業種の事業所数を検索した結果、那須大学がある栃木県を例にとると、宇都宮市への集中度が県全体の50パーセントを超えているものには、たとえば、広告関連業、貸しビル・駐車場業、ソフトウエア業、などがあった。昨年の国政調査によれば、全国で、人口30万人以上の都市の八割が、過去5年間で人口が増えだのに対して、5万人未満の都市は、反対に八割が減少した。集積が集積を呼ぶ効果と考えられる。また、人口20万人前後の都市は、その魅力度によって、発展するか、衰退するかの分水嶺になっている。伝統的な産業があり、過去に繁栄していた都市ほど落ち込みが激しい。はじめは、既存の産業のすき間を埋める小さなニッチ産業でも、顧客のニーズに合わせた努力や技術革新によって、大きく成長していくこともある。宅配便がよい例だ。企業自らの創意工夫で市場を開拓していくことの大切さはいうまでもない。都市型産業は、鉄鋼業のように、日本全体の総需要がある程度決まっていて、各企業がシェア争いをするというものと異なる。たとえばホテルのように、新たなサービスの供給が需要を創造する。都市間競争の時代、産官学の協力によって、こうした都市型産業を、地域特性に合わせて積極的に集積を図っていくことが求められている。経済不況脱出の処方箋のひとつとしても、国レベルの構造改革や不良債権処理に加えて、地域あげての都市型産業の育成を期待したい。