著者
奥西 智哉 宮下 香苗
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

<br><br>【目的】新規糖質米「北陸糖237号」は親品種「あゆのひかり」と同等の水溶性多糖フィトグリコーゲンを含有しておりその特徴を生かした加工品開発が望まれている。米粉にした時の加工特性について検討した事例について報告する。<br><br>【方法】平成24年秋田県産北陸糖237号の精米を乾式気流粉砕法により米粉製造した。損傷澱粉率およびアミロース含量はいずれもMegazame社製キットを用いた。Beckman Coulter社LS13320粒度分布計を用いて平均粒径等を得た。各糊化特性値は3.5gの粉砕試料と25mLの水を用いてラピッドビスコアナライザにより得た。ブラベンダー社製ファリノグラフにより生地特性を検討した。製パンは20%グルテン含有ミックス米粉を調製し定法により行った。他に、蒸しパン、団子、スノーボール、スポンジケーキ、バターケーキ、ダックワーズ、サブレを作成した。うどんはパナソニック社製ホームベーカリーの指示に従い作成した生地をうすくのばしてパスタマシンで切断し麺線を作成し、茹でた。ルウは10%スキムミルクに米粉を加え加熱した。<br><br>【結果】「北陸糖237号」米粉は市販米粉と比較して、アミロース含量は低く、損傷澱粉は高かった。平均粒径は同等であった。特徴のあるRVAプロファイルが得られた。ファリノグラムは一般に乾式気流粉砕米粉で得られるものと同様であった。パン、蒸しパン、スポンジケーキのようなフワフワしているものには向いていないと思われる。団子もまとまりは良いが、付着が多く歯切れが悪い。一方、スノーボール、サブレのようなホロホロしているものは崩壊しやすく向いていると思われる。麺は増粘多糖の補助が必要であった。
著者
奥西 智哉 宮下 香苗 堀 清純
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<br><br>【目的】米粉は新規素材として各種小麦粉製品に用いられてきているが、製品特性等の研究は米粉パンについては知見が多いものの、菓子利用については十分であるとは言えない。種子タンパク質の特性が大きく異なるesp2変異や、球形の澱粉粒を合成するSS二重変異体が導入された米粉用イネが開発されている。esp2変異はタンパク質分子間S-S結合を形成することで加工特性向上が期待されており、SS二重変異体は澱粉が通常の多角形ではなく球形になり粉質形質になる。これらの品種の製粉特性およびケーキ加工適性を評価したので報告する。<br><br>【方法】鶏卵900gをホイッパーで均一になるまで撹拌し、900gの砂糖を加え<br><br>比重0.25&plusmn;0.01(30℃)に調整した。得られたバッター240gに篩った小麦粉100gを加え、木ベラで60+25回すくうように混ぜた。型に流し入れヘラで表面をならしたものを180℃で30分焼成した。焼成後、室温で1時間冷却したものを以上冷ます。各種粉砕方法で得られた米粉のSEMによる外観観察、損傷澱粉含量、アミロース含量および粒度分布を測定した。<br><br>【結果】各種米粉を用いたスポンジケーキ生地とスポンジケーキの物理的特性を,小麦粉を用いた場合と比較することによって明らかにした。湿式気流粉砕米粉を用いた場合、小麦粉と同等の膨らみを持つケーキであったが、乾式気流粉砕およびロール粉砕米粉を用いた場合、膨らみが小さいケーキであった。
著者
奥西 智哉 中村 健治 宮本 守 宮下 香苗
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.409-413, 2012-08-15 (Released:2012-09-30)
参考文献数
14
被引用文献数
6 3

加水量を変えたドウを作成し,ドウの評価を3つの機関において行った.これらの機関では,ドウミキシングのための機器が相互に異なり,ミキシング条件も異なるが,品質の良いドウを作成するための加水量は同じであった.このことから,米粉パンにおいて適正加水量はその組成に応じて固有の値があることが明らかになった.材料組成の異なる各種米粉パンを用いた試験により,適正加水量の決定手段はファリノグラフが適しており,400BUの最高粘度を与える加水量が適正であることが明らかになった.