著者
塩谷 英司 栗山 節郎 渡辺 幹彦 星田 隆彦 山本 茂樹 石川 大樹 宮岡 英世 阪本 桂造 雨宮 雷太 田中 宏典
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.385-393, 2005-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
18

当教室ではスキー・スノーボード外傷の特徴や, その予防について報告してきたが, 近年, 新たな動向がみられたので検討した.スキー外傷の発生機序は比較的画一的で, 最近はスキーボード (ショートスキー) の出現により, 下腿骨の螺旋骨折が急増した.一方, スノーボード外傷は競技種目が多彩で, 独持の滑走フォーム (サイドウェイ・スタンスで, 両足を同一平面上に固定していること) により, その発生機序も多岐に及ぶ.また, スノーボード外傷では中級者によるジャンプ着地失敗や, 初級者による緩斜面での『逆エッジ』による転倒が目立つ.ゲレンデにおけるスキー・スノーボード外傷による全体の受傷率減少を達成させるためには, いかにスノーボード外傷の受傷率, つまり, スノーボーダーにおける“エア (ジャンプ) 外傷”の受傷率を減少させるかが鍵である.
著者
吉川 泰司 中村 正則 助崎 文雄 澤田 貴稔 宮岡 英世 稲垣 克記
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.727-737, 2016 (Released:2017-06-08)
参考文献数
29

小児期の保存療法に抵抗した発育性股関節形成不全に対して,観血的に三宅の広範囲展開法で整復した症例の長期術後経過を検討した.1992年から,当科で広範囲展開法を施行した手術時年齢が3歳以下の症例で,14歳以降まで経過観察が可能であった22例24股を対象とした.全例が女児で,手術時平均月齢は20か月,調査時平均年齢は17歳で,経過観察期間は平均189か月であった.追跡調査率は90%であった.最終診察時に寛骨臼形成不全が軽度であったSeverin分類I,II群に該当するものは17股70%であった.最終診察時に骨頭変形が残存した重症例のうち,Kalamchi&MacEwen分類II,III,IV群で大腿骨頭壊死が術後に生じたと考えられたものは3股12.5%であった.関節症変化は3股12.5%に認められた.術後に行われた補正手術は4股であった.6歳時から最終診察までの間にSeverin分類III群からII群へ臼蓋被覆改善を認めた症例が存在し,就学前の股関節補正手術は慎重に行うべきであると考えられた.今後,乳幼児の股関節脱臼治療の成績を向上させるためには,脱臼の早期診断,術前の保存療法の改善,手術侵襲の低減と手技の改善が必要である.