著者
塩谷 英司 栗山 節郎 渡辺 幹彦 星田 隆彦 山本 茂樹 石川 大樹 宮岡 英世 阪本 桂造 雨宮 雷太 田中 宏典
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.385-393, 2005-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
18

当教室ではスキー・スノーボード外傷の特徴や, その予防について報告してきたが, 近年, 新たな動向がみられたので検討した.スキー外傷の発生機序は比較的画一的で, 最近はスキーボード (ショートスキー) の出現により, 下腿骨の螺旋骨折が急増した.一方, スノーボード外傷は競技種目が多彩で, 独持の滑走フォーム (サイドウェイ・スタンスで, 両足を同一平面上に固定していること) により, その発生機序も多岐に及ぶ.また, スノーボード外傷では中級者によるジャンプ着地失敗や, 初級者による緩斜面での『逆エッジ』による転倒が目立つ.ゲレンデにおけるスキー・スノーボード外傷による全体の受傷率減少を達成させるためには, いかにスノーボード外傷の受傷率, つまり, スノーボーダーにおける“エア (ジャンプ) 外傷”の受傷率を減少させるかが鍵である.
著者
永田 明弘 藤巻 悦夫 阪本 桂造 栗山 節郎 竹政 敏彦
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.133-137, 1990-04-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
8

If the traumas treated at Ishiuchi Clinic of Showa University during the past 31 years from 1957 to 1988 are classified by topical site and type, the traumas in the knee and ankle joints are seen in many cases, occupying totally 53% of the total traumas. Compared with these, the traumas in the hip joint are relatively rare, and particularly, the cases of traumatic dislocation of the hip joint are extremely rare articular traumas. The subject cases were 6 males and 5 females.The traumatic mechanisms have been elucidated, and concurrently, super selective angiography was performed on the medial circumflex arteries in 8 cases to determine angiographically the time when loading began.There are many cases whose posterior dislocations were presumably caused by a mechanism that, while the tibia is fixed by skiing boots in a position including forward in angles slightly wider than 90°, flexion and rotary strengths applied to the hip joint are much strong at the skier's position with extended knee joint because the safety binding does not come loose at the fall of the body forward.The superior retinacular arteries are said to be very important remification of the medial circumflex femoral artery which supplies 2/3-3/4 of blood stream to the outside of the loaded epiphysial region. What are presumed as the causes for the ineffective and defective angiograms are (1) compression by hematoma, (2) extended SRA and (3) rupture of SRA. The time of loading to begin was found as 2 months in the case with favorable angiograms of SRA and 4 months in the cases with ineffective or defective angiogram.
著者
川島昭彦 川島 敏生 横塚 政久 野鳥 長子 三ツ木 豊 三ツ木 裕子 田村 真佐美 栗山 節郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.117-122, 1990
被引用文献数
1

廃用性筋萎縮が生じた膝伸筋のトルク, スピード, 大腿周径の変化を測定した。廃用によって, トルク, スピード, 周径のそれぞれに減少を認めた。減少率は, スピードに比較してトルクが高く, ST線維の萎縮の強さが推測された。さらに当院での通常の訓練を行った後に第二回の測定を行った。その結果, 統計的にトルクのみ改善を認め, スピードと周径に変化はなかった。今後, スピードに対するアプローチも必要と思われた。廃用による周径とトルク, スピードの相関は, 低いか, 無相関であった。周径で厳密に筋力を推定することは困難であり, 評価としての周径の意義について測定方法を含めた再考が必要と思われた。
著者
川島 敏生 野鳥 長子 武田 真佐美 高嶋 直美 長尾 啓子 重松 雄大 長屋 説 佐藤 宜充 山上 繁雄 栗山 節郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.345-350, 1998-07-31
被引用文献数
4

膝前十字靭帯損傷による神経受容器の機能低下によって筋の反応時間の遅れが予想される。また, 膝前十字靭帯損傷後の患者は特有な歩容を呈することが指摘されており, これが大腿四頭筋に与える影響も考えられる。今回それを検証することを目的に, 膝荊十字靭帯損傷患者の大腿四頭筋の等速性筋力・力発生率, 脛骨の前方動揺距離を測定するとともに, 表面筋電図を用いて大腿直筋・内側広筋の筋電図反応時間・電気力学的遅延・周波数解析などを行った。各パラメーターを健側・患側で比較した結果, 患側の等速性筋力・力発生率には有意な低-ドが, 脛骨前方動揺距離には有意な増大カ月忍められた。さらに, 患側の電気力学的遅延に有意な遅延が認められるとともに, 患側の内側広筋の平均パワー周波数に有意な低下が認められた。電気力学的遅延と脛骨前方動揺距離に相関は認められなかった。反応時間のうち, 中枢過程を反映するといわれている筋電図反応時間には差が認められず, 末梢過程を反映するといわれている電気力学的遅延に有意な遅延が認められた。また, %タイプII維が高い者に増大力月忍められるという力発生率と内側広筋の平均パワー周波数に有意な低-ドが認められた。これらのことから, 膝前十字靭帯損傷後の反応時間の遅れの原因が, 神経受容器の障害であるという予想に反し, 内側広筋のタイプII維の萎縮が原因であると推察した。また膝前十字靭帯損傷後の患者は大腿四頭筋の収縮を避ける歩容や股関節屈曲モーメントを大きくする歩容を呈するといわれている。この様な歩行が2関節筋で股関節屈曲作用もある大腿直筋と単関節筋で膝関節伸展作用のみの内側広筋の活動量に差をもたらし, その結果として同じ大腿四頭筋でありながら, タイプII維の萎縮に差を生じさせたと考えた。