- 著者
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宮崎 俊明
- 出版者
- 教育哲学会
- 雑誌
- 教育哲学研究 (ISSN:03873153)
- 巻号頁・発行日
- vol.1985, no.51, pp.21-25, 1985-05-10 (Released:2009-09-04)
ヘーゲルはその『歴史哲学』で思推をこととする哲学と所与の事実につく歴史を対比し、「哲学の仕事は歴史の研究には矛盾するように思える」としたが、今回与えられた課題の「研究」、「哲学的」、「歴史的」をどう把えるかの差で「接点」を求める方向も異なるだろう。哲学的、歴史的な全体性や理性、さらにはそこでの批判、反省、形成の理論-実践問題は、科学理論や教育学の基礎問題となろうし、ここ十余年、理論的批判性の欠落、実践的解放性の貧困、イデオロギーによる汚染、科学主義という実体化された物象化といった論議があり、教育学場面ではより積極的に、忘却された文化連関の回復、教育的日常の発掘などが課題とされている。以下では、これらに係わる事実をまずペスタロッチとその研究で確認し、そのあと現代西独にみられる教育学論議をふまえて基本線の試みを略述したい。