著者
冨澤 元博 大塚 博子 宮本 徹 山本 出
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.49-56, 1995-02-20
被引用文献数
6

シビレエイ電気器官のニコチン性アセチルコリンレセプターイオンチャンネル複合体へのイミダクロプリド関連化合物を含む各種リガンドの効果について, アセチルコリン(ACh)認識部位のプローブである[^3H]α-ブンガロトキシンおよびイオンチャンネル内のアロステリック部位のプローブである[^3H]フェンサイクリジンを用いたラジオレセプターアッセイにより検討した.ニコチン, アナバシン, カルバコールおよびシチシンはアゴニストであり, DMPP, コニイン, ネライストキシン, d-ツボクラリンはACh認識部位とアロステリック部位の双方に作用し, フェンサイクリジン, TCP, クロルプロマジン, メカミラミン, ロベリンおよびトリメタファンはアロステリック部位に作用する非拮抗的遮断薬であることを認めた.イミダクロプリド, 6-クロル-PMNIおよびアセトアミプリドは弱いアゴニスト作用を示したが, NMTHT, ニテンピラムなどには弱いアゴニスト作用とともにイオンチャンネル内に存在するアロステリック部位への弱い作用が認められた.
著者
宮本 徹 Toru Miyamoto
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.247-260,

グルタチオンS-転移酵素(GST)はミクロソーム酸化酵素であるチトクローム P450 と並んで生物体に広く存在する抱合酵素である。これは生体内で生合成や薬物の代謝分解に於いて重要な役割を演じている。α,μ,π,σ クラス GST では,チロシンがグルタチオン(GSH)のプロトンを引き抜き,GSH 抱合体を形成する。一方,昆虫の θ,δ,ε クラス GST では,セリンが近傍のペプチド結合のカルボニル基と相俟って,GSH からプロトンを引き抜き,GSH 抱合体を形成する。植物や大腸菌の GST は昆虫と同じセリンのシステムで GSH を活性化しているようである。本稿では,この GST の触媒機構と多様な機能を計算化学による必須アミノ酸残基の立体配座の視点から解説し,薬剤開発と抵抗性発現のイタチごっこの解消の足がかりを提案する。
著者
宮本 徹
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ (ISSN:09153594)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.130-137, 2000-07-31 (Released:2011-04-19)
参考文献数
5
著者
山本 出 藪田 五郎 冨澤 元博 斉藤 隆行 宮本 徹 利部 伸三
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.33-40, 1995-02-20
被引用文献数
14

[^3H]α-ブンガロトキシン, [^3H]ニコチンをプローブとしニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の認識部位へのニコチノイド, ネオニコチノイド, 関連化合物の結合性をみた結果, 昆虫nAChRでは3-ピリジルメチルアミノ部分をもつこと, 脊椎動物nAChRではイオン化度の高いことが必要であった.[^3H]フェンサイクリジンを用いTorpedoのnAChRのイオンチャンネル開口への効果をみた結果, アゴニスト作用を呈するのに3-ピリジルメチルアミノ部分があるほうがよいが, イオン化度の高いことが必要であった.ニコチノイドのアミノ窒素原子とネオニコチノイドの構造上対応する窒素原子の^<15>N NMRを測定したところ, 後者は前者に比べはるかに低磁場にあり, 窒素原子上の非共有電子対が電子吸引性基により非局在化, すなわち部分正荷電を帯びていることを示し, これが昆虫のnAChRとの相互作用には十分だが, 脊椎動物のそれとは不十分であるといえる.これによってニコチンは温血動物への毒性が高く, 殺虫活性が限られているのに対し, イミダクロプリドはその反対の特性を示すことが説明できる.