著者
宮﨑 隆志
出版者
北海道大学大学院教育学研究科附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究
巻号頁・発行日
vol.1, pp.39-44, 2007-03-30

「生きづらさ」に関わって以下の3つの論点を検討する。①機能的な差異が生じたときに、善意に基づ く配慮が「逸脱」を刻印するのは何故か、②現代の日常生活における「正常」を規定する論理は何か、 ③「生きづらさ」を克服しうる社会関係が備える特質は何か。 現代における商品化の進展は、商品・資本が主体となって自己展開する社会システムを成立させ、個 人はその下で分断され、引き裂かれている。その分断・分裂に耐えることが「正常」とされ、機能的な 差異を有する者への「配慮」は、自らの分裂性を隠蔽しつつなされるため、配慮する者とされる者の間 にはモノローグ的関係が生ずる。 両者が共に生きづらさを対象化するには、協同性の発展を内実とする社会関係資本の形成が必要であ り、そのような関係の下でのみ自己内対話は対話的なものとなり、新たな主体の形成が可能となる。
著者
宮﨑 隆志 日置 真世
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター = Research and Clinical Center for Child Development, Faculty of Education, Hokkaido University
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.11-20, 2010-03-25

社会的に排除された若者の自立支援にコミュニティ・エンパワメントの視点から接近する意義と課題を検討した。具体的な事例に即して、共時的移行の困難と自己の構造化の困難との関連を確認した上で、コミュニティ・エンパワメント型支援実践の構造を解明した。最後に、そのようなタイプの実践がもたらす自己の構造変化を、協働的な自己再構成の過程として抽出し、協働的活動システムの構築による支援実践や教育実践の可能性を導いた。