著者
室屋 祐二 元木 聡宏 島ノ江 憲剛 春田 幸典 寺岡 靖剛 山添 昇
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.114, no.1326, pp.189-194, 2006-02-01
参考文献数
18
被引用文献数
1

A ceramic coating slurry was designed, which suspended or dissolved ceramic components (silica, titania, alumina and kaolinite) and glass-forming components (alkali silicates and soda ash) in water. SiO_2-Al_2O_3-TiO_2 based composite films (about 100μm thick) were deposited on a steel plate by coating the slurry with a brush, followed by drying and calcination. The ceramic coatings obtained under proper conditions were found to exhibit excellent stability over a wide range of temperature. As evaluated by copper electrodeposition method, through-holes were present in the coatings calcined at 700℃ or below, while they were eliminated completely after calcination at 1100℃ in N_2. Vickers hardness of the coatings increased with increasing calcination temperature, while adhesive strength went through a sharp maximum at 800℃.
著者
寺岡 靖剛 永長 久寛
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

Sr_2AlNbO_6はペロブスカイト(ABO_3)型構造を持ち、Al^<3+>とNb^<5+>がBサイトを占有している。これら2種類の金属イオンは焼成温度の増加に従いBサイト内で規則配列し、結晶内に-Al^<3+>-O-Nb^<5+>-交互規則配列結合を形成する割合が高くなる。したがって、Sr_2AlNbO_6を用いることで化学組成や結晶系を変えることなく、金属イオン規則配列構造と触媒機能との相関を評価することが可能と考えられる。そこで、金属イオン規則配列構造に由来する協奏的触媒機能の発現に対する知見を得ることを目的とし、規則配列度の異なるSr_2AlNbO_6を合成し、結晶構造を評価した。さらに、結晶構造が吸収スペクトルや光触媒活性に与える影響を検討した。規則化度の異なる試料の吸収スペクトルからEg値を見積った結果いずれも4.1eVとなり、Eg値と規則化度との相関はみられなかった。一方、メタノール水溶液を用いた光触媒活性評価の結果、長時間焼成することでH_2生成活性は低下することがわかった。触媒の比表面積は約3~4m^2・g^<-1>と同程度であったことから、活性の差は比表面積では説明できないと考えられる。このような光触媒活性の低下はAg光還元反応にも同様に認められ、反応の種類に依存しなかった。以上の結果から、Sr_2AlNbO_6の光触媒活性は規則化度の向上により低下することが示唆された。このように協奏的触媒機能の発現には至らなかったが、バルクの金属イオン配列の規則化と触媒機能の関連を初めて明らかにした。またバルクの規則配列構造を反映した多金属協奏活性的構造表面の創製として、立方晶のBa_2CoWO_6と単斜晶のCa_2CoWO_6を比較した。その結果、Ca_2CoWO_6において(-201)面上の金属イオン規則配列構造を反映した表面構造が形成され、それが触媒活性向上に関連する可能性が示唆された。
著者
鹿川 修一 吉田 清英 寺岡 靖剛
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究は,ディーゼル排ガス中の炭素微粒子(パティキュレート;PM)と窒素酸化物(NOx)の有害成分を同時に除去,無害化する新しい排ガス浄化システムの開発を目指したものである.1.触媒とPMの混合物を反応ガス中で連続昇温しながら反応を追跡する昇温反応法を用いて,ペロブスカイト型酸化物(ABO_3),K_2NiF_4型酸化物(A_2BO_4),スピネル型酸化物(AB_2O_4)のPM-NOx同時除去活性を調べた.(1)PM-NOx同時除去活性は,ペロブスカイトおよびK_2NiF_4型酸化物のBサイト,スピネル型酸化物のA,Bサイトに入る遷移金属イオンの種類に大きく依存し,CoやMnを含むものは活性は高いがNOxのN_2への還元選択性が低く,CuやFeを含むものが適度な活性と高い選択性を示す.(2)アルカリ金属,特にKの添加により活性と選択性が同時に向上し,高性能なPM-NOx同時除去触媒を得るにはKの添加が必須である.(3)複合金属酸化物は遷移金属単独酸化物やそれらの機械的混合物および担持白金触媒よりもNOxの還元能が高く,PM-NOx同時除去反応に対して複合金属酸化物が有効である.2.反応の速度論的検討から,NOの酸化によるNO_2の生成,NO_2の解離吸着による原子状吸着酸素の生成,PM表面での原子状吸着酸素により活性化された中間体(C^*[O])の生成,気相酸素の関与によるC^*[O]中間体濃度の増加をキ-ステップとするPM-NOx同時除去反応機構を提案した.3.ぺロブスカイト型La_<0.9>K_<0.1>CoO_3をハニカムフィルターに担持し,実排ガスから直接PMを捕集した後に,SO_2,H_2Oを含む模擬ディーゼル排ガス中でのPM-NOx同時除去特性を測定した.PM/触媒混合物を用いた基礎研究と比較して,着火温度が約100°C高くなり,またNOx還元率も低下したが,比較的良好な同時除去特性を示し,本プロセスの実用化の可能性が強く示唆された.