著者
寺島 秀夫 只野 惣介 大河内 信弘
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.1027-1043, 2009 (Released:2009-10-20)
参考文献数
67
被引用文献数
21

侵襲が加わった生体のエネルギー需要は、侵襲反応として供給される内因性エネルギー供給と栄養療法として投与する外因性エネルギー供給の相互作用によって充足される。現在、内因性エネルギー供給を測定することができないため、外因性に投与する至適エネルギー量が算定できない状況にある。故に、栄養療法の立案に際してその基軸となるべき至適エネルギー投与量が決定できないために、最適化された栄養療法を実践することが困難となっている。従来の栄養療法は、侵襲下においても生体のエネルギー消費量を外因性にすべて供給するとした基本概念を採用してきたが、このエネルギー投与法は必然的に過剰エネルギー投与として作用して有害事象が発生するため、蛋白代謝の改善が得られないばかりか、栄養療法自体が有害、逆効果になり兼ねない問題を内在していた。こうした状況を踏まえ、侵襲下の代謝動態に基づくエネルギー投与法の考え方を提言して論証を行った。

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著者
寺島 秀夫
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.177-184, 2019 (Released:2019-09-15)
参考文献数
30
著者
寺島 秀夫 斎藤 昌宏 高橋 さつき 平山 克
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.1848-1851, 2002
被引用文献数
2

まれな大網原発類上皮血管内皮腫の1例を報告する. 症例は58歳の女性で, 臍周囲の不快感を主訴に来院した. 約5cmの弾性軟な腫瘤が臍周囲で腹壁に近く触知された. 精査により原発性腹膜腫瘍が疑われたが, 呼吸性移動を示すことから特に大網由来の可能性が考えられた. 1999年11月22日に手術が施行された. 腫瘍は明らかに大網内に存在し, 胃壁と固着しており, 胃壁を部分切除し腫瘍の完全摘出を施行した. 光顕像では, 腫瘍は類上皮血管内皮腫に一致する特徴を有し胃筋層へ浸潤していた. 免疫組織化学染色では, 血管内皮系マーカー (CD34, F-VIII) が一部陽性を示した. 以上より, 大網から原発した類上皮血管内皮腫と診断された. 術後経過は順調で, 30か月後も再発を認めていない.<BR>大網原発類上皮血管内皮腫に関して英語文献検索を行ったところ, 過去の報告は1例のみであり, 極めてまれである.
著者
寺島 秀夫
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.315-326, 2019-12-15 (Released:2020-01-15)
参考文献数
57

重症病態下における厳密な血糖管理 (tight glycemic control : TGC) の最適解は, いまだ不明である. 2001年, LeuvenⅠstudyは, 強化インスリン療法 (intensive insulin therapy : IIT) の画期的な治療成績を提示したが, その後, 数々の追試においてIITの有効性が実証されることは一度もなかった. その要因は, IITの理論上の誤りではなく, LeuvenⅠstudyに内在した栄養管理の特異性 (overfeeding) とともに, プロトコル型血糖管理方法に起因する血糖値制御の不確実性であったと結論される. IITの是非を巡る論争は, 最終的にearly full feedingの有害性を剔抉するにいたり, 栄養療法ガイドライン変革の遠因ともなった. 栄養投与量の適正化がなされ, コンピュータ制御血糖管理が容易に実行可能となった現在, 最適なTGCの解明に向けて新たな幕開けを迎えた.