- 著者
-
小屋 菜穂子
- 出版者
- 青山学院大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2004
テニスにおける調整力トレーニングのあり方を論じていくために、一昨年度から引き続き、今年度も国内外の選手が見につけている動き(技術)を発育発達段階に沿って、実際の試合をもとに分析してきた。分析ソフトの作成は、今後の使用目的を考慮すると、ベース自体からの練り直しが必要になり、引き続き継続している。日本選手は、ジュニア時代は上位にランキングされていても、シニアになるとその順位を維持できない。特に、男子の場合、トップ100位に入ることが非常に難しい。女子の場合は、トップ50位前後には入っており、今年は再び、国別団体戦であるフェド杯で、ワールドグループ1に入った。これは、世界ベスト8に相当する。しかし、個人のランキングを見ると、トップの杉山選手でも20位代である。体格差や筋力など、原因はいろいろと叫ばれているが、実際に見て情報を得る必要があった。そのために今年度は、世界のジュニア選手のレベルを把握するために、海外大会を視察した。世界のトップシニア選手の試合は、テレビ放送があるが、ジュニア選手の試合はあまりない。大会として選んだのは、世界4大大会のひとつであるUSオープンである。ここでは、日本選手vs外国選手、シード選手vsノーシード選手など、技術やプレースタイルをレベル別に把握できる試合が集中している。また、ジュニアとトップが同一会場で試合を行うことから、発育発達に沿った技術レベルの向上も見ることができた。有効な情報は数多くあったが、特に、ボールスピードのコントロールは、ジュニアとシニアの差が歴然であった。これを状況によって使い分けることが、トップになるための一必要条件である示唆を得た。昨年度からの、gradingの調査は上記の裏づけにもなると考えられる。今年度はさらにデータを増やすため、12歳から大学生まで、測定を行った。昨年度の結果に追加して、有用な示唆が得られると考えている。