著者
玉村 公二彦 片岡 美華 小山 ありさ 宮地 里味
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.81-90, 2009-03-31

漢字書字に特異的障害をもつ学習障害児について、教育相談と支援を提供しつつ、そのプロセスの中でおこなってきたアセスメントと教育的支援の内容を報告した。本事例は、小学校4年生2学期から相談に入り、 5年生になって各過程度の支援をおこない、その認知や対人関係の特徴を把握したものである。漢字の書字障害は、特に字形の想起障害を特徴とする記憶に関連する問題と考えられたが、あわせて、本児は、不注意傾向、興味や対人関係の偏りなども指摘され、 LD、 ADHD、広汎性発達障害などのそれぞれの特徴をあわせもつと考えられた。発達障害の原因や特性から検討することを課題としつつも、教育相談・教育支援のプロセスの中で支援のあり方と手がかりを見いだすことの重要性を指摘した。