著者
松田 真一 深田 信幸 大石 昌仁 岡 宏明 原 良介 小島 愛 中野 駿 元吉 克明 五十嵐 繁樹 佐々木 裕子 亀山 菜つ子 窪田 和寛
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.41-54, 2021-06-20 (Released:2021-07-26)
参考文献数
17

保険請求データベース(DB)や電子カルテ DB 等,日常診療の情報が記録されたリアルワールドデータ(real-world data:RWD)は,薬剤疫学研究における重要なデータ源の一つである.日本において,2018年4月より製造販売後調査の新たなカテゴリーとして,医薬品の製造販売後データベース(製販後 DB)調査が追加された.以降,医薬品リスク管理計画(risk management plan:RMP)において製販後 DB 調査が計画され,製販後 DB 調査の実践が期待されているが,現時点で結果公表まで至ったものはほとんどない.一方,海外においては RWD を用いた DB 研究成果は現時点で多数報告されている.海外と日本では,DB 自体の特性(項目・構造等)の違い,医療環境・慣習の違い等を念頭におく必要はあるが,そのような前提を踏まえて海外 DB 調査論文を精読し,研究仮説,研究デザイン,手法等を吟味することは,日本における製販後 DB 調査の計画・実行・結果の解釈を実践するうえで参考価値があると考えた.本報告の目的は,海外 DB 調査論文の批判的吟味を通じて,DB 調査の特徴や注意点を考察すること,そして,日本における製販後DB 調査の実践に役立つ提言を行うことである.本稿が,今後の製販後 DB 調査を計画・実施するうえでの一助になれば幸いである.
著者
林 伸和 小島 愛 内方 由美子 舛永 安繁 中村 圭吾
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.564-573, 2017 (Released:2018-08-17)
参考文献数
9

尋常性痤瘡患者に対する過酸化ベンゾイルゲル(ベピオ(R)ゲル 2.5 %,以下,本剤)の日常診療下における安全性及び有効性について,本剤使用3ヵ月後までの中間集計結果をもとに検討した. 解析対象症例378例中57例(15.1%)に副作用を認めたが,重篤なものはなかった.適用部位の皮膚刺激症状(紅斑,刺激感,乾燥,瘙痒感,皮膚剥脱,疼痛)のほとんどは本剤使用開始後1ヵ月以内に発現していた.皮膚刺激症状の発現率について,性別,年齢,尋常性痤瘡の重症度による一定の傾向はなかったが,敏感肌では有意に高かった.接触皮膚炎は5例(1.3%)に認められ,その発現時期は本剤使用開始後5〜20日であった. 全顔の皮疹数の減少率(中央値)は,本剤使用3ヵ月後において,炎症性皮疹が75.0%,非炎症性皮疹が61.3%,総皮疹が67.7%であった.12歳未満の小児患者においても良好な結果が得られ,特に炎症性皮疹数は12歳以上と比較して有意に高い減少率であった.全般改善度で「著明改善」または「改善」と判定された症例は、顔面で377例中271例(73.4%),顔面以外で32例中18例(58.1%)であった.Skindex-16日本語版を用いたquality of life評価では、症状,感情,機能および総合スコアの全てが本剤使用3ヵ月後に改善していた. 以上より,本剤は尋常性痤瘡の急性炎症期における有用な治療選択肢の一つであり,小児患者に対しても有用な薬剤となり得ることが示唆された.
著者
松田 真一 深田 信幸 大石 昌仁 岡 宏明 原 良介 小島 愛 中野 駿 元吉 克明 五十嵐 繁樹 佐々木 裕子 亀山 菜つ子 窪田 和寛
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
pp.26.e4, (Released:2021-03-18)
参考文献数
17

保険請求データベース(DB)や電子カルテ DB 等,日常診療の情報が記録されたリアルワールドデータ(real-world data:RWD)は,薬剤疫学研究における重要なデータ源の一つである.日本において,2018年4月より製造販売後調査の新たなカテゴリーとして,医薬品の製造販売後データベース(製販後 DB)調査が追加された.以降,医薬品リスク管理計画(risk management plan:RMP)において製販後 DB 調査が計画され,製販後 DB 調査の実践が期待されているが,現時点で結果公表まで至ったものはほとんどない.一方,海外においては RWD を用いた DB 研究成果は現時点で多数報告されている.海外と日本では,DB 自体の特性(項目・構造等)の違い,医療環境・慣習の違い等を念頭におく必要はあるが,そのような前提を踏まえて海外 DB 調査論文を精読し,研究仮説,研究デザイン,手法等を吟味することは,日本における製販後 DB 調査の計画・実行・結果の解釈を実践するうえで参考価値があると考えた.本報告の目的は,海外 DB 調査論文の批判的吟味を通じて,DB 調査の特徴や注意点を考察すること,そして,日本における製販後DB 調査の実践に役立つ提言を行うことである.本稿が,今後の製販後 DB 調査を計画・実施するうえでの一助になれば幸いである.