著者
正井 佐知 小島 理永 伊藤 京子 Ito Kyoko Masai Sachi Kojima Rie マサイ サチ コジマ リエ イトウ キョウコ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.45-55, 2018-03-31

社会学 : 研究ノートResearch Notes近年、当事者の参画は、医療・福祉現場での実践はもちろん、学術、司法、行政、政策決定など広範な分野にまで及んでいる。ICT分野でもユーザー中心の開発がなされている。本稿の目的は、アプリ普及を見据えて行った、脊髄損傷者に向けたアプリ開発と、アプリリリースのためのクラウドファンディングの経験を当事者参画という視点から紹介することである。まず第2節では、アプリの開発経緯を紹介する。2016年9月時点では、リハビリ機器を開発予定であったところ、脊髄損傷当事者のニーズを聞いてゆくことで方向性を大きく転換することとなった。そして、手が動きにくい人にも配慮した設計で、「脊髄損傷の人が出会う場を提供するための『きっかけ』を、パラスポーツの普及やスポーツの話題とし、そこから『人のつながり』を構築できるマッチングアプリ」として2017年3月にアプリPspoが完成した。本アプリでは、当事者の相互作用に期待し、当事者の知識・経験を共有できるような仕組みを構築することを試みている。第3節では、アプリ運用資金を得るためのクラウドファンディングで、「人とのつながり」の「きっかけ」を提供するというPspoのコンセプトを一貫した結果、予想に反し当事者からの資金提供がほぼ得られなかったことについて記述する。最後に、第4節ではアプリ開発とクラウドファンディングから得られた示唆と今後の見通しについて述べる。In recent years, people with disabilities participate in a wide range of fields, such as academic, judicial, administrative, and policy decision-making, as well as medical and welfare fi elds. User-centered development is also being carried out in the ICT fi eld. The purpose of this paper is to show how we developed an application for people with spinal cord injuries and our experience of cloudfunding for release of the application, from the viewpoint of involvement participation. First, we introduce the development process of the application. Although we had originally planned to develop rehabilitation equipment, having listened to the voices of people with spinal cord injuries we decided in September 2016 to make a communication tool for them. In March 2017, considering the diffi culties of controlling hands, we developed Pspo, an application which provides opportunities for communication to people with spinal cord injuries through the topic of sports. Then, we recount our experience of cloudfunding in order to obtain support for our project. Finally, we make suggestions for the future.
著者
小島 理永
出版者
国際学院埼玉短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02896850)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.45-52, 2007-03

コンテンポラリーダンス作品上演過程において,ダンサーが得るフロー体験について日本語版FSSを用いて質問紙調査を行った。調査時期はコンテンポラリー作品上演過程における,作品完成時,ドレスリハーサル時,本番終了時に設定した。その結果,ダンサーは,以下のようなフロー体験を行っていた。1)ダンサーは,作品完成時,ドレスリハーサル時,本番終了時の各過程において,自己目的的活動を行っており,明瞭な目標をもっていた。2)ダンサーは,作品完成時,ドレスリハーサル時,本番終了後において,作品を踊る際に時間感覚の変化に有意差があり,(p<O.Ol)特に本番終了時において変化を感じていた。3)ダンサーは,作品完成時やドレスリハーサル時に比べて,作品上演時に行為の自動化,コントロール感を得ていた。4)作品完成時,ドレスリハーサル時,本番終了時におけるフロー体験では,作品完成時と本番終了時に有意差がみられた(p<0.05)。従って,コンテンポラリーダンス作品上演においてダンサーは,舞台上演に際してよりフロー体験を得やすい。また,ダンサーとコレオグラファーとの相互関係について,ダンサーは常にコレオグラファーより与えられた振付や演出を,常にアフォードされており,その環境と自らの行為を適合していることが明らかとなった。
著者
小島 理永 藤田 和樹 島本 英樹 内藤 智之 門田 浩二 河野 史倫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,大学生の生活習慣やメンタルヘルス等の健康状態を多元的視点から評価可能な生活習慣尺度を作成し,その妥当性を検討するとともに,回答者の健康状態と経時変化が確認できるWebアンケートシステムを構築した.そして,フィットネスとメンタルヘルスの因果関係について検討した結果,大学生の体力の低下は,直接的にメンタルヘルスに,また,間接的にソーシャルヘルスに影響を及ぼしており,性差によって影響要因が異なっていたことが明らかになった.これらの成果より,健康教育における本アンケートシステムの汎用性が確認できた.