著者
小机 ゑつ子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.49-53, 1986 (Released:2010-02-22)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

本研究はタケノコの貯蔵適性を追究するため, 収穫直後のタケノコを1℃の低温下と20℃に貯蔵し, 貯蔵中の状態を観察するとともに, 数種の化学物質の変化を調べたものである。1) タケノコを1℃の低温下に貯蔵した場合, かなり長期間にわたって品質を保持しえたが, 20℃貯蔵では約2日間程度であることがわかった。2) 20℃における当初のエチレン生成量は416μ1/kg/hrと高く, カビの発生する5日後まで急減したのに対し, 1℃では当初120μ1から8日後まで減少しつづけ, 以後変動は見られなかった。一方, 炭酸ガスは20℃においては133mg/kg/hrから2日後に少し減少したが高い値を維持した。しかし1℃では非常に低レベルであった。3) 当初アスコルビン酸は100g中8.4mg (還元型3.9, 酸化型4.5mg) であったが, 20℃貯蔵では還元型の減少が著しいが, 1℃貯蔵で酸化型の減少が大きかった。4) タケノコに含まれる有機酸は主としてシュウ酸, クエン酸, コハク酸であるが, そのうちシュウ酸は全有機酸の83%を占めた。シュウ酸は両温度区とも, 4日以後急減したがクエン酸は漸減した。また, 当初まったく検出されなかったリンゴ酸が, 20℃貯蔵7日後から検出された。5) 糖については当初フラクトースが100g中約500mg, グルコースが400mg, ショ糖220mg含まれていた。1℃貯蔵ではフラクトースおよびグルコースは4日後まで急減したが, 以後増加に転じた。一方, 20℃では両糖とも貯蔵中減少した。6) 遊離アミノ酸については当初チロシンが全アミノ酸の約57%を占めた。20℃貯蔵下で急減し, 10日後では当初の1/3に低下したが, セリンフラクションは逆に増加した。一方, 1℃貯蔵下では各アミノ酸の変動は少なく, わずかにスレナニンの減少が観察された。
著者
小机 ゑつ子 水野 進
出版者
園藝學會
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.435-441, 1989

タケノコ先端部 (A区分) 及び基底部 (D区分) の各組織切片に D-グルコース-U-<sup>14</sup>C 及びシキミ酸-G-<sup>14</sup>Cを取り込ませ3, 6, 9, 21時間反応させたのち, 各画分に取り込まれた<sup>14</sup>Cの活性を測定し, タケノコに多量に含まれるチロシンの合成及び利用について検討した.<br>1. タケノコ組織に取り込まれたグルコース-U-<sup>14</sup>CはA区分では全活性の11.4% (3時間後) から13.6%(9時間後), D区分では16.4% (3時間後) から52.5% (9時間後) がアルコール不溶性残渣に移行した. アミノ酸画分へは9時間後にA区分で4.1%が, D区分で12.8%が取り込まれた.<br>2. グルコース-U-<sup>14</sup>Cはすべてのアミノ酸へ取り込まれたが, 最も活性の高いのがアラニンであり, 次いでr-アミノ酪酸, グルタミン酸であった. チロシン及びフェニルアラニンに取り込まれた活性はアミノ酸画分に対して各々0.6~7.8%及び0.7~4.8%であった.<br>3. 取り込まれたシキミ酸-G-<sup>14</sup>Cの総活性のうちA区分では反応時間を通して約20%が, D区分では約10%がアミノ酸画分に移行し, その他の画分への移行はわずかであった.<br>4. シキミ酸-G-<sup>14</sup>Cはチロシン及びフェニルアラニンに効率良く取り込まれ, 21時間後には総活性の12%(A区分) から8% (D区分) がチロシンに, 同様に10% (A区分) から6% (D区分) がフェニルアラニンに取り込まれた.<br>5. リグニンアルデヒドへの移行はグルコース-U-<sup>14</sup>Cの場合, 9時間後に総活性の0.36% (A区分) から0.98% (D区分) が, シキミ酸-G-<sup>14</sup>Cでは21時間後に0.82% (A区分) から2.15% (D区分) であった.<br>6. シキミ酸G-<sup>14</sup>Cからホモゲンチジン酸へ取り込まれた<sup>14</sup>Cの活性は非常に少なく21時間後で総活性の0.1から0.2%であった.<br>7. 本実験結果よりタケノコ組織に存在するチロシンの生成はグルコース及びシキミ酸を前駆体とするシキミ酸経路によるものと推定される.
著者
小机 ゑつ子 水野 進
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.719-722, 1989
被引用文献数
4

孟宗竹のタケノコを用いて, HGA含量に及ぼす収穫時期, 大きさ, 栽培地ならびに貯蔵の影響について調べた.<br>1. 収穫時期別の調査では, 1987年3月25日の初収穫から約2週間の間に収穫されたタケノコにHGA含量が多く (111.2~248.0&mu;g/100gFW), 最盛期以後のタケノコでは低い値 (36.8~12.3&mu;g/100gFW) であった.<br>2. 重量別ではL級 (900g程度) タケノコのHGA量は73.5&mu;gであったが, 小さくなるほど増加し, 特にSS級では114.2&mu;gと最も多かった.<br>3. 貯蔵中の変化については, 1&deg;C貯蔵では経時的に減少し, 当初の75.5&mu;gから9日後には32.2&mu;gになった. 20&deg;C貯蔵では2日後まではほとんど変化せず, その後は減少した.<br>4. 産地間の比較では, 含量にかなりの差異が認められた.
著者
小机 ゑつ子 水野 進
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.719-722, 1989 (Released:2007-07-05)
参考文献数
4
被引用文献数
1 4

孟宗竹のタケノコを用いて, HGA含量に及ぼす収穫時期, 大きさ, 栽培地ならびに貯蔵の影響について調べた.1. 収穫時期別の調査では, 1987年3月25日の初収穫から約2週間の間に収穫されたタケノコにHGA含量が多く (111.2~248.0μg/100gFW), 最盛期以後のタケノコでは低い値 (36.8~12.3μg/100gFW) であった.2. 重量別ではL級 (900g程度) タケノコのHGA量は73.5μgであったが, 小さくなるほど増加し, 特にSS級では114.2μgと最も多かった.3. 貯蔵中の変化については, 1°C貯蔵では経時的に減少し, 当初の75.5μgから9日後には32.2μgになった. 20°C貯蔵では2日後まではほとんど変化せず, その後は減少した.4. 産地間の比較では, 含量にかなりの差異が認められた.