著者
橋本 喜一朗 梅垣 敦紀 小松 啓一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究の課題は,「ガロアの逆問題に対する構成的方法」の立場からアーベル方程式を構成する一般的メカニズムを得ることを目標とするものであるが,特にガロア群が巡回群である場合に焦点を絞って研究を進めた.2000-2002年度基盤C(一般)「アーベル方程式の構成とガウス和の数論研究」において,申請者は学院生(修士)星明考君と共同研究で,ガウス周期の関係式の一部を幾何的に一般化し,多変数関数体上の巡回多項式族の構成を行った。本研究はその継続研究であり,ガウス周期の満たすある基本関係式を公理として関数体上で類似物を構成するという幾何的一般化を行ない,これによりガウス周期の既約多項式から巡回多項式族が得られるしくみを明らかにし,パラメータの個数も複数個に増やすことに成功した.すなわちガウス周期y_0,..,y_{e-l}をe個の独立な不定元とみなすと,基本関係式から関数体L=Q(y_0,..,y_(e-l))に成分を持つ行列Cが得られ,これらを全て添加した体K=Q(c_{i, j})は巡回置換によるLの固定体となる.これよりL/Kはe次巡回拡大であり,Cの特性多項式の根体となる.このアイデアに基づいて小さなeに対してパラメータ付きe次巡回多項式族が得られた.特に,この構成から得られた巡回多項式族のパラメータを特殊化し,e=7おいて定数項がn^7である簡単な表示をもつパラメータの族を得た.この結果はLehmerプロジェクトとして知られている研究の一般化を与えるもので,総実代数体の巡回拡大の単数の構成問題などに重要な研究方法を提供するものである.本研究の成果は2002年度春の日本数学会及び早稲田大学整数論シンポジウムを含む幾つかの研究集会で講演発表された.この研究を更に高次の場合に進展させることは重要な課題である.
著者
小松 啓一
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.365-366, 1975-10-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
5
著者
若林 功 小松 啓一 田代 俶章 間下 克哉 和田 倶幸 横手 一郎
出版者
東京農工大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1.解析関数の代数点における値が超越数とならないとき, その代数点は例外点と呼ばれるが, 例外点の個数を上から評価するシュナイダー・ラング型定理の拡張を研究した.(1) リーマン面への拡張. 複素平面の場合の完全な拡張が得られ, 裏面の第1論文で発表した.(2) 単位円上の関数に対しては, 知られている結果より良い評価式を得ることができていたが, その改良をできるだけ一般の形に拡張し第2論文とした.(3) 上記(1)(2)の結果等は若林の東京大学学位論文としてまとめられ既に審査済みで, 63年3月に学位授与の予定.(4) 若林は(1)(2)について口答発表を行った.(i) 函数論分科会シンポジウム, 於長崎大学, 62年7月.(ii) ディオファントス近似国際会議, 於Oberwolfach, ドイツ, 63年3月.2.超越数論で有名な「四指数問題」を研究した. 上記(2)て考案された方法の考え方を適用し若干の進展が得られた.3.多変数関数の場合のシュヴァルツの補題を研究したが, 状勢を調べたに留る.4.間下は四元数射影空間およびケーリー射影平面から球面への標準的極小はめこみの剛性について研究し, 裏面の第3論文とした.