著者
江見 美子 鵜殿 俊史 小林 久雄 早坂 郁夫
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第20回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.131, 2004 (Released:2005-06-30)

【目的】チンパンジーはヒト蟯虫(Enterobius vermicularis)の寄生により、下痢や嘔吐、食欲不振などを起こし、時に肝臓などへの迷入により死に至る場合がある。また蟯虫の雌は産卵時期になると、寄生部位である盲腸から肛門に移動し産卵を行う。この時の掻痒感のため、蟯虫寄生は肛門いじりや各種肛門疾患の原因になると考えられている。しかしチンパンジーにおける蟯虫駆除は 1) 糞便いじりによる再感染率が非常に高い、 2) 投与が容易で蟯虫に対し高い駆除効果が期待できる駆虫薬がない、など非常に難しく、チンパンジー飼育施設にとって長年解決できずにいる問題となっている。そこで、ブタの回虫・鞭虫駆虫薬として既に使用されているフェンベンダゾール (Fenbendazole) のチンパンジーにおける蟯虫駆虫効果について調べ、清浄化を図った。【方法】 (1) 駆虫効果判定の為、蟯虫寄生が確認されたチンパンジー8頭にフェンベンダゾール10mg/kgを2週間隔で2回投与し、排虫の確認と、1、2、4、8、12、16週後に検便を行った。 (2) 蟯虫清浄化を目的として、チンパンジー80頭にフェンベンダゾール10mg/kgを5~11回投与し、2~7カ月おきに検便を行った。【結果】 (1) 8頭とも多数の排虫が確認され、その後12週まで蟯虫は検出されなかった。 (2) 投与前は30.2%だった蟯虫の検便陽性率が、投与開始から9ヶ月後および12カ月後には0%となった。しかし、16カ月後の検便で1頭から蟯虫が検出された。【考察】これらの結果から、フェンベンダゾールはチンパンジーの蟯虫に対し高い駆虫効果を発揮することが確認された。しかし初回投与の16カ月後に1頭から蟯虫が検出されたことから清浄化には至らず、環境中の虫卵から再感染した、あるいは駆虫しきれずに腸管内に残っていたことが考えられた。今後は投与間隔の再検討が必要である。
著者
小林 久雄 河合 匡彦
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.207-210, 1960 (Released:2008-02-29)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

(1) It is difficult to tear off experimentally the scales of mud-loach, Misgurnus fossilis anguillicaudatus, because of their relatively small size. If the operation is carried out unskillfully, deformed scales would oftenly be regenerated on account of presumptive damage of the scale pockets. (2) The early regenerative scales have a broad sculptureless focal area occupying almost all of the scale dimention, and they resemble the ordinary scales of Cobitis taenia. (3) Regenerative scales observed 172 days after the operation are a little smaller in the whole shape and somewhat fewer in number of circular grooves than the ordinary ones. As time goes by, the structure of the former bears resemblance to that of the latter and consequently when the breeding of the fishes is continued, it may be supposed that these regenerated scales would completely return to the ordinary ones.