著者
松田 希 小林 俊輔 宇川 義一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.756-760, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

症例は経過12年のパーキンソン病の77歳男性.発症4年後から絵画制作に没頭し,作品展を開催するまで上達した.しかし,発症11年後から人の顔を描く際に執拗に修正するようになり画風が変化した.当初の絵画制作への没頭は衝動制御障害(impulse control disorder; ICD)に起因し,後の画風変化はICDの増悪に加えて,運動性保続など前頭葉機能障害の関与も疑われた.
著者
小林 俊輔
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.181-186, 2017-06-30 (Released:2018-07-02)
参考文献数
6

brain-machine interface (BMI) は中枢神経の信号を解読して利用する, あるいは中枢神経の情報処理に外部から介入して操作する技術である。例えば四肢麻痺の患者の脳活動を記録して解析することにより車いすを運動の意図に基づいて操縦するといった臨床応用が考えられる。BMI には脳に外科的に電極を埋め込む侵襲的な方法や脳波などを利用する非侵襲的な方法がある。神経生理学研究の蓄積により神経活動を読み取り解析する技術は進んでいるが, 外部からの刺激により神経情報処理を修飾する技術に関しては未だ初歩的な段階である。将来的に読み取り・書き込み技術が発達すればコンピューターが生体脳の情報処理を補完することにより高次脳機能障害を治療することが実現されるであろう。