16 0 0 0 OA VI.薬剤性脳症

著者
望月 仁志 宇川 義一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.8, pp.1579-1583, 2017-08-10 (Released:2018-08-10)
参考文献数
10

薬剤性脳症とは,薬剤の投与による脳の代謝異常によって生じる脳症で,稀な病態ではない.その症状は障害される部位により異なるため,意識障害から小脳失調まで多彩である.発症の機序は,薬剤の神経細胞・軸索への直接障害,髄鞘障害,脳受容体への作用,電解質異常,肝酵素相互作用,血管原性浮腫ならびに自己免疫性等が想定されている.原疾患とは異なる症状が出現した際には,薬剤性脳症の可能性に気付くことが重要である.
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001695, (Released:2022-05-28)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.この各論Iでは,遺伝子研究,トランスレーショナルリサーチ,核酸医薬,iPS研究,介護・福祉など,多様性を増す脳神経内科領域の臨床と研究について,最新トピックスを交えて取り上げる.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠 進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
宇川 義一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.3, pp.439-444, 2016-03-10 (Released:2017-03-10)
参考文献数
5
著者
宇川 義一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.9, pp.2653-2661, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001696, (Released:2022-05-28)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.この各論IIでは,疾患ごとに脳神経内科領域を分類し,各分野の専門家がわかりやすく解説するとともに,最近のトピックスについて冒頭に取り上げた.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠 進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
杉浦 嘉泰 宇川 義一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.1-8, 2017 (Released:2017-01-31)
参考文献数
54
被引用文献数
1 3

てんかんは大脳神経細胞の過剰な電気的興奮によって起こり,近年神経細胞の電気的活動に深く関わるイオンチャネルの遺伝子変異が,てんかんの原因として報告されてきた.またこの変異イオンチャネルの電気生理学的機能解析により,てんかんを発症する病態が明らかとなってきた.本稿ではイオンチャネルの機能異常から見たてんかんの病態と,抗てんかん薬の作用機序について概説する.
著者
松田 希 小林 俊輔 宇川 義一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.756-760, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

症例は経過12年のパーキンソン病の77歳男性.発症4年後から絵画制作に没頭し,作品展を開催するまで上達した.しかし,発症11年後から人の顔を描く際に執拗に修正するようになり画風が変化した.当初の絵画制作への没頭は衝動制御障害(impulse control disorder; ICD)に起因し,後の画風変化はICDの増悪に加えて,運動性保続など前頭葉機能障害の関与も疑われた.
著者
宇川 義一 生駒 一憲 魚住 武則 鬼頭 伸輔 齋藤 洋一 谷 俊一 寺尾 安生 飛松 省三 中村 元昭 藤木 稔
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.513-515, 2016-12-01 (Released:2017-12-27)
参考文献数
7
被引用文献数
1

最近, 国際臨床神経学会のホームページで, 経頭蓋直流電気刺激, 経頭蓋交流電気刺激の個人的な使用に関する勧告が出された。そこで, 日本臨床神経生理学会では, その日本語訳を以下に示すことにした。最終的結論に, 本学会の脳刺激委員会としても賛成である。
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.709-721, 2021 (Released:2021-11-24)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.本稿で,総論部分1)脳神経疾患とは,2)脳神経疾患克服研究の現状,3)脳神経疾患克服研究の意義・必要性,4)神経疾患克服に向けた研究推進体制,5)脳・神経・筋疾患克服へのロードマップ,6)提言の要約版を報告する.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
堤 涼介 代田 悠一郎 宇川 義一
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.227-233, 2012-08-01 (Released:2014-08-30)
参考文献数
57

経頭蓋磁気刺激法における2つのコイルを用いたpaired pulse stimulationの例として, 大脳半球間抑制 (interhemispheric inhibition: IHI) と小脳抑制 (cerebellar inhibition: CBI) について概説する。IHIは左右のM1にコイルをおき, 片側からの条件刺激を対側からの試験刺激より6 ms以上先行させる条件で刺激を行った場合のMEP振幅が, 試験刺激単独によるMEP振幅に比べ減少するもので, M1間の脳梁を介した抑制機能を評価することができる。CBIは小脳半球と対側M1にコイルをおき, 小脳刺激をM1刺激に5–8 ms先行させる条件で刺激を行った場合のMEP振幅が, M1刺激単独によるMEP振幅に比べ減少するもので, 小脳プルキンエ細胞から歯状核視床皮質路を通る小脳遠心路系の機能を評価することができる。これらの機能は運動制御に重要な役割を果たしており, 様々な神経疾患における病態生理の解明や臨床応用が期待される。
著者
守谷 新 門脇 傑 菊地 サエ子 榎本 雪 望月 仁志 宇川 義一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.699-702, 2011 (Released:2011-09-26)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

突然疼痛をともない,両側体幹と下肢の深部感覚優位の感覚障害,錐体路障害と膀胱直腸障害で発症した後脊髄動脈症候群の2例を報告した.後脊髄動脈は左右1本ずつ存在するが後脊髄動脈症候群の症状は本症例のように両側性のばあいが多い.後脊髄動脈は吻合が多く,側副血行路が働き,1対の独立した血管支配ではなく1つの血管のネットワークで補われているのが原因と考えられる.本症例は2例とも高血圧,脂質異常症と虚血性心疾患の既往があり,高度な動脈硬化にともなうアテローム硬化性の機序により血管のネットワークが破綻したためと考えられた.
著者
宇川 義一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1339-1342, 2012 (Released:2012-11-29)
参考文献数
3
被引用文献数
2

I summarize one year experience after the great earthquake in Fukushima as a neurologist and give some proposals to prepare this kind of disaster. The great east Japan earthquake is characterized by its long duration of quake, great Tsunami and nuclear plant accident especially for Fukushima. We used different strategies for treating the patients at four periods after the earthquake. I will briefly describe those in the following parts. Acute period: We acted as one doctor, not neurology specialist, under the conditions with some lacks of life lines. We accepted serious patients from city hospitals in Fukushima. Some of them were transferred to university or large hospitals in other areas when they were not able to be treated in our hospital. The other patients were admitted to our hospital. Many neurologists, self-defense forces officers and people of MHLW helped us in this period. The internet communication played significant roles because of telephone system breakdown. Subacute period: We acted mostly as a neurologist. Serious neurological patients, such as meningoencephalitis, MG crisis, relapse of multiple sclerosis, were admitted to our department. Recovery period: We acted as a neurologist at this period. City doctors consulted us about non-serious neurological patients because of difficulty in coming to our hospital. Ideally, the consultation may be made through internet telephone system. Reconstruction period to the ordinary life: Medical problem solution all depends on the political strategy of how to reconstruct Fukushima.
著者
望月 仁志 宇川 義一
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.88-93, 2019-02-18 (Released:2019-04-03)
参考文献数
7

運動失調とは,運動麻痺はないもしくは軽症で,動作や姿勢保持などの協調運動の障害である.末梢感覚器(関節位置覚,視覚,平衡覚)から中枢神経系への求心路,その情報を処理する小脳・大脳基底核,そして小脳などからの情報を受けて制御情報を送る大脳運動野から末梢・筋までの遠心路のどのレベルでも,運動制御はされていることになる.これらのどの部分に障害が生じても,臨床的な運動失調は生じる.今回は,臨床的に重要な小脳失調,感覚失調,前庭性失調について,それぞれの臨床的特徴とその機序について概説した.
著者
宇川 義一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.827-831, 2012 (Released:2012-11-29)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

What's involuntary movement? To define the involuntary movement, we should define the voluntary movement. It is, however, difficult to define the voluntariness. The involuntary movement usually indicates some abnormal movement occurring without any movement intention of the subject which excludes any reflex movements, such as tendon reflexes or normal startle response. How to see patients with involuntary movements Classification of involuntary movements entirely depends on clinical features of movements. The method to see the patients, therefore, follows how to describe the movements when explaining those to others. The three main points to care are as follows. Regularity in time or rhythmicity of the movement: regular, mostly regular, irregular or completely irregular. The most rhythmic one is tremor and most irregular one is myoclonus. Conditions inducing involuntary movement: resting, postural, during movement, emotional stress, sensory trick or others. These are important factor to see actual movements in clinical practice. To make an inducing condition in the clinic is sometimes required to see the symptoms. Pattern of involuntary movements: irregular, stereotypical, distribution of moving muscles, right-left difference and others. Several kinds of involuntary movements are presented in my talk.

1 0 0 0 OA 12.筋無力症

著者
松本 英之 宇川 義一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.1994-2000, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

重症筋無力症では抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体の他に,筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)抗体が発見され,その抗体の種類により臨床像が異なることが判明した.また胸腺摘出術のメタ解析で有効性が証明されず,また治療の選択肢が増加しており,治療方針が大きく変化している.Lambert-Eaton筋無力症候群は,肺小細胞癌などの悪性腫瘍の治療の進歩により,症状の改善が期待されるようになっている.
著者
松本 英之 宇川 義一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.4, pp.1076-1083, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

脳脊髄液減少症は,従来,低髄液圧症候群と呼ばれていた疾患とほぼ同一の病態の疾患である.その病態が脳脊髄液の減少に起因すると考えられるため,脳脊髄液減少症がより適切な疾患名となっている.脳脊髄液の減少により,頭痛,頸部痛,めまい,耳鳴,視機能障害,倦怠・易疲労感など様々な症状を呈する疾患と定義される.本疾患の診断に有用な画像診断法には,頭部MRI(magnetic resonance imaging)やRI脳槽・脊髄液腔シンチグラムが挙げられ,治療は安静臥床,輸液による保存的治療と硬膜外自家血注入療法が一般的である.脳脊髄液減少症は未だ医療関係者の間でも十分に認識されているとは言い難く,しばしば誤った診断,治療がなされている.現在,厚生労働省の班会議「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する調査研究」で,脳脊髄液減少症の診断・治療指針(ガイドライン)の作成を目標とした研究が進行中であり,その調査結果が待たれるところである.