著者
松坂 尚典 山川 洋司 佐藤 至 津田 修治 小林 晴男 西村 義一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.214-218, 1997-04-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
11
被引用文献数
1 3

妊娠17日目のマウスに137Csを1回静脈内に投与した後, 胎子および母体臓器における137Csの取込みを放射線測定およびマクロオートラジオグラフィによって調べた。投与後24時間目の胎子1匹あたりにおける取込み量は投与量の0.8%で, 1腹あたりに換算すると投与量の11%となった。さらに, 投与後24時間目における胎子各臓器の137Cs濃度は0.4-0.8%/gであったのに対して, 母体各臓器の濃度は2-6%/gであり, 母体臓器における濃度のほうが胎子臓器の濃度よりも4-6倍ほど高くなった。特に, 母体の器官のなかでも唾液腺が最も高い濃度を示し, 投与後1時間目および24時間目では, それぞれ25%/gおよび6.4%/gとなった。唾液腺は甲状腺に近接して存在しているので, 唾液腺における137Csの顕著な取込みについて注目する必要がある。マクロオートラジオグラムの所見は, 放射線測定によって得られた結果を支持するものであり, カラーで示された像は137Csの臓器分布を視覚的に捉えるのに役立つ。
著者
松坂 尚典 佐藤 至 西村 義一 志賀 瓏郎 小林 晴男 品川 邦汎
出版者
岩手大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

実験動物(マウス及びラット)に放射性亜鉛(Zn-65)及び放射性マンガン(Mn-54)を投与して、胎子、胎盤、胎膜における両核種の取り込みを追跡した。さらに、妊娠末期のラットに両核種を投与したのち分娩させ、在胎中に胎盤を経て胎子に移行した両核種の量と、生後に新生子が母乳を介してもらい受けた量を調べた。1.妊娠17日のマウスにZn-65及びMn-54を1回静脈内投与したのち、24時間目における胎子の取り込み量を調べたところ、それぞれ1腹あたりで36%及び9%となった。すなわち、マウス胎子におけるZn-65の取り込みは、Mn-54のそれよりも約4倍ほど多くなることが観察された。2.妊娠0日、7日、14日のマウスに両核種を1回皮下に同時投与して、分娩直後の新生子における取り込みを調べた。分娩直後の新生子におけるZn-65の取り込み量は、妊娠0日、7日、14日群で、それぞれ1腹あたりの値が11%、12%及び28%となり、妊娠初期に投与された場合よりも妊娠後半に投与された場合の方が、胎盤を経て在胎中に取り込まれた量が多くなった。Mn-54でもほぼ同様の傾向が認められたが、分娩直後の新生子における取り込み量は、Zn-65に比べて1/3から1/4となった。3.妊娠末期のラットにZn-65を1回投与したのち分娩させ、分娩直後の新生子における取り込み量を測定した。そののち、同日に分娩したZn-65無投与ラットの新生子と一部交換して哺乳させた。分娩直後の新生子には投与量の3%(1腹あたりでは約30%)が取り込まれており、さらに離乳するまでには母乳を介して1.5%(1復あたりでは約15%)が移行した。Mn-54についても、ほぼ同様の傾向が認められた。これらの結果から、Zn-65及びMn-54に関しては、胎児への経胎磐移行とともに、母乳を介する汚染経路が重要であると考えられる。
著者
佐藤 至 鈴木 忠彦 小林 晴男
出版者
Japanese Society of Veterinary Science
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.731-734, 2005 (Released:2011-03-05)
著者
佐藤 至 松坂 尚典 西村 義一 品川 邦汎 小林 晴男
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.289-292, 1993-05-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
11

In order to estimate the availability of zeolite, one of the inorganic ion exchangers, as an eliminator for the incorporated radionuclides, wholebody retention of intraperitoneally administrated 54Mn and 65Zn was measured in mice fed a zeolite-added diet at 10 per cent. Wholebody retention of 54Mn and 65Zn was decreased significantly faster than control, and the biological half-life of them was also reduced to 11.3 and 12.7 days, respectively, from 14.1 and 16.8 days in controls. The results suggest that oral administration of zeolite is effective to eliminate the incorporated 54Mn and 65Zn, and if it is used in combination with the chelation therapy of DTPA, it will be more effective.