著者
小林 絢三 北野 厚生 山口 勝治 水野 滋 溝口 靖紘
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.195-202,257, 1976 (Released:2009-06-05)
参考文献数
38

X線,内視鏡ならびに生検により診断し得た潰瘍性大腸炎15例,大腸結核3例,ンクロー病4例.ベーチエット病1例,計23例を対象として,主として細胞性免疫の立場から検討を加えた。潰瘍性大腸炎においてはT-cell populationはもとよりその機能も対照群より低下し,T-cell系の障害を支持する成績を得た。病期による差ではT-cell機能は活動期では非常にぱらつきがあり,免疫学的に不安定であることを示すが寛解期に入ると,その分布の巾が狭くなり病態として落着いた状態となると考えられる。これに対し,大腸粘膜なちびに菌抗原に対しては陽性を示すものが多いことが特徴づけられる。クローン病においては病巣は小腸にみられたが,全例T-cell系の障害を示し,その程度は潰瘍性大腸炎におけるそれよりも強かった。また,大腸結核症全例にPHA responseが高い結果が得られた。
著者
河田 則文 久保井 広志 申 東桓 筒井 ひろ子 溝口 靖紘 小林 絢三 近藤 洋子 森澤 成司 門奈 丈之 山本 祐夫
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.855-859, 1989-08-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

マウスKupffer細胞から産生遊離するPGE2量に及ぼすinterleukin 1(以下,IL1)とtumor necrosis factor(以下,TNF)の影響について検討した.マウスKupffer細胞を培養すると,spontaneousにもPGE2の遊離がみられ,培養上清中のPGE2量は培養開始後24時間まで経時的に増加したが,TNFを添加するとTNF1, 10ng/ml添加時にさらに有意に増加した.また,Kupffer細胞をzymosanで刺激するとPGE2産生量は約5倍にも増幅し,TNF存在下ではさらに増強された.さらに,Kupffer細胞をあらかじめTNFで24時間処理したのちzymosanで刺激を加えて産生されるPGE2量もやはり有意に増加した.このように,種々の条件下においてTNFはKupffer細胞からのPGE2産生を増加させることが明らかとなった.しかしながら,IL1にはこのような効果は見られなかった.以上の結果から,Kupffer細胞自身が産生するとされるTNFがKupffer細胞機能を調節する機構が存在する可能性が示唆された.