- 著者
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金崎 良三
徳永 幹雄
藤島 和孝
岡部 弘道
橋本 公雄
- 出版者
- 九州大学
- 雑誌
- 健康科学 (ISSN:03877175)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, pp.71-85, 1989-03-31
- 被引用文献数
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テニス教室に参加した婦人36名を対象にして, 2年間にわたる追跡調査を実施することによって, テニスの継続化をめぐる問題にアプローチしてきた。研究結果は, 以下のように要約される。1. 対象者の基本的特性については, 全員が30代から40代の既婚者であり, 若干の者はパートタイマーとして職業に就いているが, 大部分は専業主婦である。また小学生の子供をもつ者が多いが, ほとんどの者が出産・育児から解放された時期にある。2. 学生時代からテニス教室に参加するまでの過去において, 大部分の老が何らかのスポーツの経験をしている。また, スポーツとかかわりをもつ夫や子供がいる者が極めて多い。3. テニスの継続状況については, (1)長期継続型(教室終了後引き続き継続), (2)中途継続型(教室終了後すぐには実施せず途中から開始して現在も継続), (3)中断継続型(途中で中断の時期があるが現在も継続), (4)中途非継続型(教室終了後引き続き実施していたが途中でドロップアウト)および(5)長期非継続型(教室終了後からずっと実施せず)の5つのパターンがみられた。全体的には(1)〜(3)の継続群が多く, 7割以上を占めている。特に長期継続群は, 練習コートが自宅から極めて近い所にあり,試合に出場した経験のある者が多い傾向がみられる。4. テニスヘの社会化パターンについては, 学校卒業後からテニス教室参加以前のスポーツ経験の違いから, (1)テニスを初めて開始した者, (2)スポーツ経験はあるがテニスは初めての者, (3)テニスの経験があり教室では再開または継続的に実施する者, という3つのパターンがあり, このうち(3)のパターンに属する者が多く半数を占めている。これらのパターンと教室終了後のテニスの継続パターンとの間には, 特徴的な関連性は認められなかった。5. テニス継続化の要因としては, (1)専業主婦がほとんどであり, 仕事をもっていてもパートタイマーであることから時間的余裕がある, (2)利用できるコートが極めて身近な所にある, (3)自主グループやクラブ, スクールなど練習仲間がいる, (4)テニス関連支出が大きな経済的負担となっていない, (5)テニスの技能の向上が認められる, (6)家族が重要な他者として機能している, (7)テニスの行動意図や重要な他者に対する規範信念が高い。(8)スポーツ意識に問題がない, などが指摘できる。6. テニス継続の目的に関しては, (1)友人との交流, (2)ストレス解消, (3)健康・体調の維持, (4)肥満防止・体重調整, (5)技能の向上・試合出場の5つがあげられるが, 特に「上手になりたい」, 「試合に出場したい, 勝ちたい」など(5)に関連する内容をあげた者が目立つ。7. テニス非継続の要因としては, (1)仕事の都合, (2)性的役割の問題(出産・育児), (3)社会的役割の問題(地域の役員就任), (4)転居による地理的・社会的環境条件の変化, (5)病気・怪我など健康上の理由, (6)指導者・リーダーがいなくなることによるグループの消滅, (7)グループ内の人間関係の問題, (8)テニスの技能が向上しないことによる意欲の低下, などがあげられる。本研究は, その目的がある程度達成されたとはいえ婦人のテニスについての1つの事例研究に過ぎず, したがって以上の結論を一般化することは困難である。今後は.今回の結果を踏まえてさらに対象を拡大するなどして, 数量的, 実証的研究へ発展させたいと思う。(本研究の要旨は, 1988年の第37回九州体育学会にて発表した。)