- 著者
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河田 則文
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.107, no.5, pp.938-943, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
- 参考文献数
- 10
B型,C型慢性肝疾患の治療はめざましい進歩を遂げ,肝炎ウイルスの制御が可能となった.しかしながら,肝硬変,アルコール性・非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH),原発性胆汁性胆管炎や原発性硬化性胆管炎等肝線維化が鍵となる疾患に対する治療はunmet medical needsにとどまっている.これを解決するためには,肝線維化の病態を分子細胞論的に細密に解析し,その情報をもとにした標的治療薬の開発が必須である.肝臓における細胞外マトリックス物質(extracellular matrix materials:ECMs)の産生細胞は星細胞や門脈周囲の線維芽細胞が主体であり,それらが活性化すると筋線維芽細胞(myofibroblast:MFB)として線維化の増幅のみならず,炎症や免疫反応制御,さらには肝癌の微小環境構成の主役となる.従って,肝線維化の治療には,肝細胞障害の阻止と同時に活性化星細胞の機能制御が必要である.近年,線維化誘導分子の解析が進展し,それらをターゲットとした臨床試験が始まっている.