著者
藤村 明子 小林 鉄太郎 森田 光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.720, pp.7-12, 2002-03-08

刑事事件の真相を解明していくには、市民から寄せられた情報が大きく役立つ場合がある。ところが現在は、情報提供した市民のプライバシが十分に保たれていないため、情報を提供することに躊躇する市民が増加し、捜査機関は十分な情報等が得られず、犯罪事実の解明が困難になっている。本稿では、市民が自らの匿名性を確保したまま捜査機関に対して情報を提供し、必要な場合を除いては、その個人情報が開示されることがない仕組みを提案する。
著者
山根 信二 村山 優子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.207, pp.1-5, 2001-07-16
被引用文献数
2

1990年代以降のアメリカにおけるComputer Ethicsの制度化に注目し, その歴史的展開について報告する.コンピュータサイエンスのカリキュラムの見直しやアクレディテーションの実施によって, Computer Ethicsはより重要なものとして位置づけられはじめている.基本文献の整備には, 教科書としてのアンソロジーが重要な役割を果たしており, その基本文献の見直しもまた同時にすすめられている.
著者
村山 優子 瀬川 典久 山根 信二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.207, pp.25-29, 2001-07-16
被引用文献数
1

本稿では「戸」のメタファを利用した様々な通信を「戸口通信」と呼び、ネットワーク上にそれらを実現する研究を紹介する。本研究では、現在、戸口伝言板、ドアノック(呼び鈴)、戸下通信の開発を進めている。戸口伝言板とは, 学生寮のような環境で各個人の部屋のドアに設置された伝言板のことである.ドアノックは, 訪問者が訪問先の戸を叩くことで, 通信の意志を相手に何らかの音の信号により知らせる実時間型のコミュニケーションシステムである.戸下通信とは, 例えば学生が締切り間際の課題報告を提出する際に, 担当教官の研究室の部屋の戸の下から提出物を入れるような通信である.本稿では, これらのシステムについて必要なセキュリティの機能についても述べる.
著者
中野 秀男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.19-22, 1999-04-09

本報告では、インターネットにおける情報通信倫理の考え方を少し歴史的に考察した上で、大学と公的な組織についての情報通信倫理について述べる。大学にしても公的な組織にしても最初に一般的な議論をした上で、前者については大阪市立大学における事例について触れ、後者についてはTAOの大阪西成実験センターにおける事業について述べる。
著者
岡村 久道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.1-6, 1999-04-08

インターネット上のスパムをめぐり、既に米国では幾つかの判例が出されている。また、スパムを規制するために複数の州では州法が制定されており、合衆国法についても法案Federal billsが審議されている。日本でも、ニフティサーブがスパム送信禁止を求める仮処分を日本で初めて提起し、浦和地方裁判所は、1999年3月9日、ニフティの請求を認める旨の決定を下すに至っている。
著者
シモンズ ジェレミー
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.207, pp.31-36, 2001-07-16

近年、ディジタル情報を守るための措置が注目されている。その中で、特に重要視されている措置は暗号である。この措置をディジタル情報に施すことによってその情報を無許可の使用者から守ることができると思われている。さらに、その措置を法律上守る必然性を促すため、暗号化の解読行為を侵入行為とみなし、無許可の使用者へ侵入者同等の法的措置の導入を求めている著作権者が増えている。本論文ではこの侵入者説への批判を行う。特に、侵入者から財産を守る意味を再確認し、著作権者の財産の定義と統一性について問題を明確にし、暗号解読の権利の範囲がまだ確保されていることを指摘する。
著者
中川 晋一 岡沢 治夫 久保田 文人 小峯 隆宏 雨宮 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理
巻号頁・発行日
vol.99, no.348, pp.1-8, 1999-10-09

要約国際共同研究としての次世代インターネットテストベッドプロジェクト間の相互接続を目的として、1999年G8-GIBNプロジェクトと共同で行ったAUP(利用規約)に関する調査研究をもとに、研究開発用ギガビットネットワーク、郵政省通信総合研究所APIIテストベッド、APAN、AIII、WIDE等の国際インターネットテストベッドとの相互接続を行って行く過程でインターネットレイヤモデルにおける社会的側面を加えた新規モデル提案の必要性を検討した。調査の結果、現在の1)ネットウークの目的、2)技術的基盤に関する情報、3)ユーザへの課金の有無を含む接続の際の要求事項、4)帯域割り当てや各種トラフィックの取扱いなどの規則、5)ネットワークのモニター方法、6)バックアップシステムなどに関しての周知の必要性、プロジェクト範囲についての定義が明瞭でない等の問題が示唆され、従来のネットワークレイヤモデルにポリシーを加えた新規層構造を検討した。