- 著者
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岩井 浩
小川 晃一
小柳 芳雄
- 出版者
- The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
- 巻号頁・発行日
- vol.J87-B, no.9, pp.1277-1286, 2004-09-01
本論文では,携帯端末アンテナの人体影響軽減を目的として,PDC方式で採用されている受信ブランチ判定規範に基づく送信ダイバーシチ方式を提案し,その有効性を理論と実験の両面から検証した.まず,ブランチ間の相関係数と不等中央値から,基地局側平均受信電力の改善量を解析的に見積もった.次に,携帯電話の通話状態における姿勢を精密に模擬した上半身リアルファントムと折畳み式携帯電話を模擬した端末モデルを用いて,携帯電話の実用状態における提案方式の適用効果を検証した.実験に用いた端末モデルは,ダイバーシチアンテナとしてほぼ同じ放射効率の外部アンテナと内蔵アンテナを備えており,この場合の基地局側平均受信電力の改善量は7.9 dBとなった.本方式では瞬時値変動による信号フェードの救済は期待できないものの,人体による送信アンテナの動作利得低減に対して大きな改善効果が期待できることを明らかにした.