著者
和田 有紀子 道下 尚文 森下 久 山本 温 松本 一弘 菱川 哲也
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.11, pp.880-888, 2022-11-01

周囲環境からの影響の低減やデザイン性の向上といった観点から,アンテナや無線回路をスロット付金属きょう体の内部に含む無線通信装置が実用化されている.本論文では,スロット付金属きょう体の内部に折返しダイポールアンテナを備えたアンテナを提案し,金属きょう体上のスロットと折返しダイポールアンテナのインピーダンス特性と電磁界分布を調べ,動作原理を明らかにする.次に,その動作原理に基づき金属きょう体の薄型化とインピーダンス特性の広帯域化を検討する.その結果,金属きょう体幅を0.22λ0 (λ0:中心周波数の自由空間波長)から0.03λ0に減少させ,比帯域幅を7.6%から18.9%に拡大することができた.また,試作評価により,提案アンテナの広帯域動作を確認した.
著者
水谷 智一 道下 尚文 佐藤 浩 小柳 芳雄 森下 久
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.6, pp.474-483, 2022-06-01

本論文では,移動体通信用アンテナとして,細径かつ低姿勢な無指向性の直交偏波共用アンテナについて検討している.水平偏波素子であるHaloアンテナとその上下に同じ構造を有する2個の無給電素子の内部に垂直偏波素子であるダイポールアンテナを挿入した構成を提案している.シミュレーション及び測定結果により,提案アンテナは,比帯域幅が8.1% (VSWR ≤ 2)であり,所要帯域内の中心周波数の波長λ0に対して提案アンテナの素子径及び素子高はそれぞれ0.14λ0及び0.49λ0であった.また,所要帯域内で20 dB程度の直交偏波間アイソレーションが得られた.垂直偏波の無指向性が崩れる傾向にあるが,CMA解析を通じて,直交偏波無指向性を改善する可能性を見出すことができた.
著者
森下 久美 渡辺 修一郎 長田 久雄
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.564-571, 2021-08-15 (Released:2021-08-11)
参考文献数
35

目的 就業時に自覚される疲労感は,労働災害のリスク要因である。高齢就業者においては,低い運動機能および認知機能が,疲労感を高めることが報告されている。本研究では,これら心身機能状態で高齢就業者を類型化し,それぞれの疲労対処行動の特徴を検討した。このことによって,今後更なる増加が見込まれる後期高齢層の就業者への疲労管理を検討する基礎資料としたい。方法 対象は,東京都A市シルバー人材センターに所属し,屋外作業に従事する高齢就業者224人から,運動機能と認知機能の4象限から各10人ずつ選定した。類型は,①両機能ともに良好なBoth-High群,②運動機能にのみ低下がみられるMotor-Low群,③認知機能にのみ低下がみられるCog-Low群,④両機能ともに低下がみられるBoth-Low群である。調査は,半構造化面接を実施し,内容分析にてサブカテゴリーおよびカテゴリーを生成した。また,各群の特徴を検討するために,「対処の焦点」(原因/症状)および「対処の環境」(Work/Life)を区分し,コード数をKruskal-Wallis検定およびDann-Bonferroni法を用い4群間で比較した。結果 内容分析の結果,350コードより32のサブカテゴリーと9のカテゴリーが抽出された。〈こまめな水分補給〉〈気温・天候に適した服装〉といった【気温対策】は,4群で共通して多く認められた。各群で多く認められた対処として,Both-High群では〈日常的な運動〉〈こまめな休憩〉,Motor-Low群では〈就業後の昼寝〉〈日常的な運動〉〈保護具・作業補助具の使用〉〈痛み止め等の使用〉,Cog-Low群では〈質の良い睡眠習慣〉〈日常的な運動〉,Both-Low群では〈前日早めの就寝〉があった。4群間でコード数を比較した結果,〔原因〕(P<.01)および〔Work〕(P<.01)にて有意な差が認められ,多重比較の結果,Motor-Low群は,Cog-Low群およびBoth-Low群よりも,平均コード数が有意に高かった(いずれもP<.01)。結論 シルバー人材センターに所属する高齢就業者の疲労対処行動は,運動機能および認知機能状態によって,異なる特徴が認められた。今後,高齢就業者への健康管理においては,就業者の心身機能の把握および,機能状態に合った疲労管理のための配慮が求められる。
著者
森下 久 林田 章吾 伊藤 淳 藤本 京平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.687-697, 2002-05-01
被引用文献数
15

携帯端末がますます小形・機能化が行われているなか,それに使用されるアンテナは携帯端末機外側には現れない,アンテナの内蔵化の要求がますます高まってきている.また,小形になった携帯端末を実際に使用する際,使用者の多くは人差し指を立てた状態で携帯端末を保持するようである.ここでは,人体(頭,手及び指)を考慮した携帯端末用内蔵アンテナの特性について電磁界シミュレータを用いて解析し,アンテナが人体から受ける影響を明らかにする.解析モデルは,人体頭部と携帯端末機を持つ手及び指からなる人体モデル,及び金属筐(きょう)体に取り付けられたアンテナから構成される.内蔵アンテナには,既に実用されている平板逆Fアンテナと平衡給電型アンテナとして提案されている折返しループアンテナの2種類を用いている.本解析モデルを用いて計算した結果は実験値とおおむね一致し,人体モデルの影響を含めて携帯端末用アンテナの特性を比較的精度良く解析できることを示した.この解析モデルを用いて,W-CDMAの周波数帯において携帯端末に取り付けられた平板逆Fアンテナの特性を実用の携帯端末機に多く用いられている5/8波長モノポールアンテナの特性と比較して計算した.その結果,平板逆Fアンテナの放射効率は,人体モデルの影響を受け,指まで含めると約20%近くまで劣化することがわかった.折返しループアンテナにおいては,平板逆Fアンテナに比べ,金属筐体に電流が流れていないため,放射効率が約10%程度良くなっていることがわかった.