- 著者
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小林 範子
廣瀬 肇
小池 三奈子
原 由紀
山口 宏也
- 出版者
- The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
- 雑誌
- 音声言語医学 (ISSN:00302813)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.4, pp.348-354, 2001-10-20 (Released:2010-06-22)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
-
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痙攣性発声障害 (SD) に対する音声訓練の有効性を検討するために, SDと診断された患者17名に対して訓練を実施した.喉頭の過緊張の軽減に有効とされる6種類の訓練手法と発話速度低下の訓練を組み合わせて使用した.音声症状の評価は, 3名の言語聴覚士による「喉詰めの度合い」の聴覚印象評価によって行った.17名のうち9名が音声の改善と結果に対する患者自身の満足に基づいて訓練を終了し, 2名が通院困難のために訓練中止, 6名が音声改善中のために訓練継続という結果であった.訓練終了例の年齢, 病悩期間, 訓練回数, 初診時の重症度には共通点が認められなかった.重度の音声症状が軽度にまで改善して訓練を終了したものが4例あった.「ため息発声」, 「気息声」, および発話速度低下訓練が多くの症例に有効な訓練手法であった.本研究の結果は, SDに対する治療法の一つとしての音声訓練の有効性と訓練の実施方法を示唆するものと思われる.