著者
丸山 千歌 小澤 伊久美
出版者
横浜国立大学留学生センター
雑誌
横浜国立大学留学生センター教育研究論集 (ISSN:18810632)
巻号頁・発行日
no.18, pp.33-52, 2011

Japanese language textbooks include information about Japanese society and Japanese culture as Japanese learners tend to be interested in such topics (Kondoh and Maruyama, 2001:101) and one of the most important purposes for Japanese learners is to get knowledge of Japanese habitual customs and culture (Byram, 1997:45; Kumagaya, 2008:213). On the other hand, Japanese language education has been criticized from other fields of research, as in the case of a sociologist who saw Japanese teachers as reproducing Nihonjinron (Theories of Japanese uniqueness) enthusiastically discussed between the 1970's and the beginning of the 1980's (Yoshino, 1997), and a comment from a intercultural education scholar who criticized Japanese teachers for their inadequate sensitivity towards cultural stereotypes (Kurachi, 2003). An important point of our research is the analysis of the influence of stereotypical information in Japanese textbooks to Japanese learners. In addition because of the indication that the Japanese teachers who lie between the textbook and Japanese learners reinforces the cultural stereotypes on the textbooks, we are going to investigate how the Japanese teachers recognize the stereotypical information in Japanese textbooks. This paper reports the result of the pilot investigation towards 11 Japanese teachers with full teaching experience. It points out the existence of the Japanese teachers who have awareness of the stereotypes on the Japanese text, the inclination of the points they point out as stereotypical information differing from Kurachi(2003), and the individual differences of judgment based on their individual experiences.
著者
小澤 伊久美 オザワ イクミ Ikumi Ozawz
雑誌
ICU日本語教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.11, pp.37-48, 2002-03-31

学習心理学の新しい動向として「状況的学習論」あるいは「文化的実践としての学び」という学習観が提唱されている。外国語教授法においても「知識の注入」から「文脈を伴った実践的学習」へという動きが見られ,外国語教育も学習心理学の変遷と並行する形で発展しているように見受けられる。本稿では状況的学習論が言語教授法そのものではなく,「教師教育」の在り方に与える示唆について議論する。日本語教育における教師教育の分野でも,教師の実践的能力を高めようという動きはあり,状況的学習論がもたらしたような知識偏重から実践的な学びへのパラダイム転換は始まっているのだと言える。しかし,具体的にどのように実践的能力を高めるかについてはまだまだいくつかの試みが始まったばかりであり,特に「実践的専門家である教師」の熟練性あるいは専門性はどのようなところにあるかという点を分析・考察する方法論が日本語教育ではまだ確立されていない。本稿では,教師が身に付けるべき専門性についてのより具体的な研究が必要であり,教育学の分野で佐藤らが進めている研究は,日本語教育の分野に応用するためには実験対象の選択法など検討を要する点があるものの,方法論として活用しうるものであることを指摘した。
著者
小澤 伊久美
出版者
国際基督教大学
雑誌
ICU日本語教育研究センタ-紀要 (ISSN:13447181)
巻号頁・発行日
no.11, pp.37-48, 2001

学習心理学の新しい動向として「状況的学習論」あるいは「文化的実践としての学び」という学習観が提唱されている。外国語教授法においても「知識の注入」から「文脈を伴った実践的学習」へという動きが見られ,外国語教育も学習心理学の変遷と並行する形で発展しているように見受けられる。本稿では状況的学習論が言語教授法そのものではなく,「教師教育」の在り方に与える示唆について議論する。日本語教育における教師教育の分野でも,教師の実践的能力を高めようという動きはあり,状況的学習論がもたらしたような知識偏重から実践的な学びへのパラダイム転換は始まっているのだと言える。しかし,具体的にどのように実践的能力を高めるかについてはまだまだいくつかの試みが始まったばかりであり,特に「実践的専門家である教師」の熟練性あるいは専門性はどのようなところにあるかという点を分析・考察する方法論が日本語教育ではまだ確立されていない。本稿では,教師が身に付けるべき専門性についてのより具体的な研究が必要であり,教育学の分野で佐藤らが進めている研究は,日本語教育の分野に応用するためには実験対象の選択法など検討を要する点があるものの,方法論として活用しうるものであることを指摘した。