著者
菅森 義晃 池内 萌加 佐野 円香 景山 直樹 小玉 芳敬
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.45-60, 2023-01-15 (Released:2023-02-21)
参考文献数
53

鳥取県東部の白兎海岸の気多岬および淤岐ノ島に露出する鳥取層群の地質調査および安山岩のK-Ar年代を測定した.気多岬には鳥取層群八頭層河原火山岩部層に帰属する両輝石安山岩が露出し,その石基中の斜長石のK-Ar年代は18.3±0.6 Maであった.絶対年代を比較すると,先行研究で指摘された河原火山岩部層が北但層群の養父亜層群八鹿層に対比される考えは支持される.淤岐ノ島に露出する鳥取層群は岩美層に帰属するとみられ,礫岩層を主体とし,河川環境下での火山活動の激化による堆積とその後の火山活動の鎮静化による斜面変形の一連の環境変化を記録した堆積物,広義のギルバート型ファンデルタの一部に比較できる地層を有する.広義のギルバート型ファンデルタが示す古流向は現在の方位で南西方向であったため,東北東方向に陸地が存在したとする考えと調和的である.これらの知見は日本海形成初期における古地理の復元に有用なデータとなりうる.
著者
鶴崎 展巨 小玉 芳敬
出版者
鳥取県生物学会
雑誌
山陰自然史研究 (ISSN:13492535)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.35-38, 2010-04

鳥取県岩美町の7つの砂浜と鳥取砂丘東端の海岸砂丘でウスバカゲロウ幼虫(アリジゴク)の分布を調査した。鳥取砂丘でみられる 種(ハマベウスガカゲロウ,クロコウスバカゲロウ,オオウスバカゲロウ,コカスリウスバカゲロウ)のうち,岩美町ではハマベウスガカゲロウをのぞく3種が出現した。小礫~中礫の礫浜または極粗砂の砂浜である鴨ヶ磯と城原海岸ではいずれの種も確認できなかった。鳥取砂丘と岩美町内の海浜の間に砂浜の粒径には大きな差はなく,岩美町内の砂浜でハマベウスバカゲロウがみられない理由は粒径では説明できない。ハマベウスバカゲロウの既知生息地との比較から,海浜の規模が小さいことと,砂丘の形成が弱いことがハマベウスバカゲロウを欠く理由と推測された。 We surveyed distribution of antlions (larvae of Myrmeleontidae) in 14 sites from 7 sandy beaches in Iwami-cho, easternmost town of Tottori Prefecture and Tottori Sand Dunes. Of the four species (Myrmeleon solers, M. bore, Heoclisis japonica, Distoleon contubernalis) known from Tottori Sand Dunes, three species excluding a pit-building species M. solers were found to occur in the Iwami-cho. No species were found in Kamogaiso Beach and Shirawara Beach that are pebble to cobble or very coarse sandy beaches. Absence of M. solers in beaches in Iwami-cho cannot be explained by sand grain size because there were no significant differences between Tottori Sand Dunes and beaches in Iwami-cho. Comparison with beaches where occurrence of M. solers has been reported and beaches in Iwami-cho suggested shorter coast lines and lower development of sand dunes behind beaches in Iwami-cho may explain the absence of the species in Iwami-cho.
著者
小玉 芳敬
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

斜面に発達する風紋を鳥取砂丘で精査した結果,風紋の限界進行傾斜角は降りで-17度,登りで+24度であることが判明した。また進行傾斜角に応じた風紋の断面形態を徹底的に計測した結果,形態特性は4種類に分類され,降り坂では波長6cmほどの短い風紋が,登坂では波長12cmほどの長い風紋が観察されることを明らかにした。いっぽう横列砂丘の風上側斜面の傾斜角を地形図の計測により調べた結果, 7度を中心にして4度~10度の傾斜角を持つ横列砂丘が多いことが判明した。