著者
氷見 徹夫 高野 賢一 大國 毅 小笠原 徳子 正木 智之 小幡 和史 堤 裕幸 小島 隆 澤田 典均 横田 伸一
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.162-177, 2013-08-15 (Released:2014-08-15)
参考文献数
44
被引用文献数
1

ウイルス性上気道炎症での鼻粘膜の役割を明らかにするためには, まず, ウイルス感染で起こる鼻粘膜上皮細胞の反応について理解する必要がある。ウイルスの種特異性と細胞指向性の理解と宿主免疫応答のうち, 自然免疫応答と抗ウイルス反応の鼻粘膜での特徴を理解することが重要である。われわれは正常なヒト鼻粘膜上皮細胞を用いたウイルス感染系を確立して, 鼻粘膜上皮に特徴的なウイルスへの免疫応答を模索した。また, 上皮細胞へのウイルスの侵入・複製・出芽のメカニズムを明らかにすることで感染様式が解明され, 抗ウイルス応答としてのインターフェロン産生の詳細について検討することで鼻粘膜上皮のウイルスに対する初期応答が解明できる。 本稿では, 気道粘膜でのウイルス感染の詳細を概説し, さらにわれわれの研究成果についても言及して, 鼻粘膜上皮の炎症の場としての特徴を利用した新しい治療戦略を模索したい。
著者
氷見 徹夫 高野 賢一 山下 恵司 小笠原 徳子 正木 智之 小幡 和史 堤 裕幸 小島 隆 一宮 慎吾 澤田 典均 横田 伸一
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.239-244, 2013 (Released:2014-03-20)
参考文献数
7

粘膜防御機構は自然免疫の最前線であり,上皮細胞に加えて免疫系細胞などを含む複合的なシステムで構築されている。耳鼻咽喉科領域では扁桃・アデノイドに代表される粘膜関連リンパ装置は,その抗原捕捉機構を駆使して,免疫記憶の形成と特異的抗体産生機構に関与している。一方,上気道の最前線である鼻粘膜もまた抗原捕捉に伴う免疫反応を行っているとともに,ウイルス・細菌感染やアレルギー炎症の場としても重要である。われわれは,扁桃やアデノイド,そして鼻粘膜の上皮についての研究を行い,機械的バリアを含む自然免疫の新しい概念を提唱してきた。ここでは,われわれの研究より得られた知見をもとに,扁桃,鼻粘膜の基本的な免疫臓器としての機能解析と,それぞれの類似性・相違性,自然免疫・獲得免疫での位置づけについて言及する。
著者
氷見 徹夫 高野 賢一 大國 毅 小笠原 徳子 正木 智之 小幡 和史 堤 裕幸 小島 隆 澤田 典均 横田 伸一
出版者
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌 (ISSN:21880077)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-5, 2014-01-20 (Released:2020-10-27)
参考文献数
12

Respiratory syncytial virus (RSV) is a major infectious agent causing serious respiratory tract inflammation in infants. However, an effective anti-viral therapy for RSV infection has not yet been developed. RSV upregulates the platelet-activating factor (PAF) receptor, which is a receptor for S. pneumoniae. Clarithromycin (CAM) and Fosfomycin (FOM) significantly suppress RSV-induced adhesion of S. pneumoniae on airway epithelium. Thus, these antibiotics might prevent secondary bacterial infections during RSV infection. In addition, several food materials have potent pharmacological effects on anti-viral infections. Therefore, we investigated the effects of curcumin and humulone on the replication of RSV. We found that curcumin and humulone prevented the expression of RSV/G-protein and formation of virus filaments in RSV-infected nasal epithelial cells. These findings suggest that curcumin and humulone have protective effects against the replication of RSV and that they are useful biological products for the prevention of and therapy for RSV infection.
著者
小笠原 徳子 高野 賢一 阿部 亜由美 才川 悦子 海崎 文 関 伸彦 吉野 真代 今野 綾美 山内 誠 新谷 朋子 四ツ柳 高敏 氷見 徹夫
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.360-365, 2013 (Released:2014-03-20)
参考文献数
17

先天性小耳症は発生頻度の低い稀な先天奇形であるが,外表奇形として出生直後より認識され,聴力評価などで耳鼻咽喉科を初診することが多い。外表奇形に対する手術は本邦では形成外科で施行される。今回我々は当院形成外科にて耳介形成術を施行した患児73例に対して,外表奇形の分類,聴力評価,味覚障害の有無,顔面神経麻痺の評価,中耳・内耳奇形の有無について解析を行い,外表奇形とそれぞれの項目に関して比較検討をおこなった。さらに国内外における従来の報告と本解析に相違があるかを検討した。  小耳症は,片側小耳症が90%をしめ,多くは外表奇形に対する治療が中心となる。しかしながら,聴力の継続的評価や真珠腫性中耳炎の早期発見,外耳道形成術,伝音再建の適応など耳鼻咽喉科医が把握,対応する事項の重要性が再認識された。