著者
小西 瑞穂 山田 尚登 佐藤 豪
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.29-38, 2008-09-01 (Released:2008-10-24)
参考文献数
29
被引用文献数
9 2

自己愛人格傾向がストレスに脆弱な素因であるかを検討するために,大学生174名(男性72名,女性102名)を対象として縦断的調査を行った。自己愛人格傾向の高い者は最近1ヶ月以内のストレッサー経験量が多いと精神的健康が低下するという仮説を立て,精神的健康のネガティブな側面をストレス反応,ポジティブな側面をハッピネスとして測定した。階層的重回帰分析の結果,自己愛人格傾向の高い者がストレスイベントを多く経験した場合,男性では抑うつ反応および自律神経系活動性亢進反応,女性では身体的疲労感が増加し,一方ストレスの少ない状況ではこれらのストレス反応が自己愛人格傾向の低い者や平均的な者に比べて最も少なかった。つまり,自己愛人格傾向には個人の精神的健康を部分的に支える働きがあるが,それはストレスの少ない状況に限定されたものであり,ストレスの多い状況ではストレス反応を生起しやすい,ストレスに脆弱な素因と考えられる。
著者
小西 瑞穂 大川 匡子 橋本 宰
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.214-226, 2006 (Released:2006-03-31)
参考文献数
33
被引用文献数
5 5

わが国では,自己愛人格傾向の測定について,Raskin & Hall (1979) やEmmons (1984) の自己愛人格尺度(Narcissistic Personality Inventory; NPI)が邦訳・検討されているが,回答方式や因子構造は研究者によって異なっている.そこで,本研究ではまだ邦訳されていないRaskin & Terry (1988) のNPIを邦訳し,新たな自己愛人格傾向尺度 (Narcissistic Personality Inventory-35; NPI-35) の作成を目的とした.調査1では探索的因子分析によって35項目5因子構造(注目欲求,誇大感,主導性,身体賞賛,自己確信)を見出した.次に調査2では,他集団のサンプルを対象に確認的因子分析を行い,十分な交叉妥当性を確認した.また,調査3においては,高い再検査信頼性が確認された.調査4ではNPI-35の構成概念妥当性を検討するために,自己愛人格目録短縮版,顕示尺度,賞賛獲得欲求尺度,自尊感情尺度との関連を検討した.その結果,NPI-35および各下位尺度と他尺度との相関関係が先行研究とある程度一致し,十分とは言えないが,構成概念妥当性が確認された.
著者
小西 瑞穂 山田 尚登 佐藤 豪
出版者
滋賀医科大学雑誌刊行会
雑誌
滋賀医科大学雑誌
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.4-8, 2008

In recent years, narcissistic personality is seen as a trait especially among young people. This personality traithas an ambivalent feature that unsettled self-valuation easily influenced by others, while it is energetic and aself-centered, being filled with confidence. In this research, we examined the relationship between narcissistic personalityand five ego states -critical parent (CP), nurturing parent (NP), adult (A), free child (FC), adapted child (AC), using theEgogram. Moreover, in order to consider the relevance to narcissistic personality and mental health, we measureddepression as a negative side of mental health and subjective happiness as a positive side. The results showed that CP, Aand FC increased narcissistic personality. CP reflected the authority, dominant and exclusive characteristics. A reflectedcool and not confused attitude by the others' feeling. FC reflected the less consideration for others and selfish behavior.From these results, this study confirmed the features of the narcissistic personality more clearly. Finally, the subjectswith high narcissistic personality had lower depression and higher subjective happiness than the subjects with lownarcissistic personality. The narcissistic personality was supposed to be the factor to enhance the mental health.
著者
小西 瑞穂 大川 匡子 橋本 宰
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.214-226, 2006
被引用文献数
5

わが国では,自己愛人格傾向の測定について,Raskin & Hall (1979) やEmmons (1984) の自己愛人格尺度(Narcissistic Personality Inventory; NPI)が邦訳・検討されているが,回答方式や因子構造は研究者によって異なっている.そこで,本研究ではまだ邦訳されていないRaskin & Terry (1988) のNPIを邦訳し,新たな自己愛人格傾向尺度 (Narcissistic Personality Inventory-35; NPI-35) の作成を目的とした.調査1では探索的因子分析によって35項目5因子構造(注目欲求,誇大感,主導性,身体賞賛,自己確信)を見出した.次に調査2では,他集団のサンプルを対象に確認的因子分析を行い,十分な交叉妥当性を確認した.また,調査3においては,高い再検査信頼性が確認された.調査4ではNPI-35の構成概念妥当性を検討するために,自己愛人格目録短縮版,顕示尺度,賞賛獲得欲求尺度,自尊感情尺度との関連を検討した.その結果,NPI-35および各下位尺度と他尺度との相関関係が先行研究とある程度一致し,十分とは言えないが,構成概念妥当性が確認された.
著者
小西 瑞穂 山田 尚登 佐藤 豪
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.29-38, 2008-09-30
被引用文献数
2 7

自己愛人格傾向がストレスに脆弱な素因であるかを検討するために,大学生174名(男性72名,女性102名)を対象として縦断的調査を行った。自己愛人格傾向の高い者は最近1ヶ月以内のストレッサー経験量が多いと精神的健康が低下するという仮説を立て,精神的健康のネガティブな側面をストレス反応,ポジティブな側面をハッピネスとして測定した。階層的重回帰分析の結果,自己愛人格傾向の高い者がストレスイベントを多く経験した場合,男性では抑うつ反応および自律神経系活動性亢進反応,女性では身体的疲労感が増加し,一方ストレスの少ない状況ではこれらのストレス反応が自己愛人格傾向の低い者や平均的な者に比べて最も少なかった。つまり,自己愛人格傾向には個人の精神的健康を部分的に支える働きがあるが,それはストレスの少ない状況に限定されたものであり,ストレスの多い状況ではストレス反応を生起しやすい,ストレスに脆弱な素因と考えられる。