- 著者
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長澤 市郎
佐藤 道信
小野寺 久幸
三浦 定俊
真貝 哲夫
稲葉 政満
信太 司
- 出版者
- 東京芸術大学
- 雑誌
- 基盤研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 1999
明治期彩色彫刻の制作技法、彩色技法を解明することを目的とし、作品の保存方法、修復技法の開発などを研究目的とした。作業は構造調査と制作技法の解明から始めた。目視及び現状記録のため、数種のカメラによる撮影を行った。彩色層の浮き上がりを記録する側光撮影も行った。内部構造解明のため、技芸天像、神武天皇像のX線透視撮影を行った。撮影にはイメージングプレートを用い撮影の迅速化、画像処理の便を図った、X線フィルム撮影も行った。結果を16bit出力とし画像ソフトを用いて処理し、構造を解明しディジタル出力で画像にした。その結果、技芸天像は江戸の制作技術を用いず、室町時代以前の木寄せ法を用い、釘、鎹も同時代の形のものを大量に使用している事、これはシカゴ万国博覧会出品を意識して強固に制作したものであろう。像の内部構造には傷みも無く、金具類に錆も見られず健全である。問題は表面彩色層の傷みの原因である。傷みの原因調査と強化処置のテストを行った。クリーニング作業に水が使えないので、数種類の混合液でテストを行った。剥落止め作業でもアクリルエマルジョンに代えて、アクリル樹脂を用い、時間差を利用して洗浄と固定を行う方法を見つけた。彩色顔料の調査に携帯形蛍光X線器機を用い、非接触で短時間に結果を知る事が出来た。顔料に含まれる微量タンパク質(膠)の含有量を算出する研究を行った。彩色下地技法の調査を行い今回の傷みとの関連を調べた。高村光雲が使った木寄せ図面から模型を造り江戸期造仏技法を検討した。日本の仏像修理の歴史を検証し、美術院修理方法を近世文化財修理へ応用が可能かを調べた。修理の資料として立体を計測する実験を3Dレーザースキャニングを用いて行い好成績を収めた。