著者
木村 健二郎 南 英一 本田 雅健 横山 祐之 池田 長生 不破 敬一郎 夏目 晴夫 石森 達二郎 佐々木 行美 酒井 均 水町 邦彦 浅田 正子 阿部 修治 馬淵 久夫 鈴木 康雄 小松 一弘 中田 賢次
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.335-348, 1954-08-15 (Released:2010-01-14)
参考文献数
15
被引用文献数
16 14 13

In order to find the proper method of medical treatment for the afflicted men on board the No.5 Fukuryu Maru on March 1, 1954, it was necessary to know the species and amounts of radioactive elements in the dust of the so-called Bikini Ashes which had fallen on board.At the request of the Hospital of Tokyo University, the authors started analyses on March 18.A combined method of chemical separation with the use of carriers and separation with the use of ion exchange resin was applied;17 nuclides were detected and the results of quantitative estimation of alkaline earth metals were reported on March 31.The main constituent of the ashes was found to be calcium hydroxide and its radioactivity was 0.37mC/g (April 23) which was decayed proportionally to -1.37 power of the time elapsed.The chemical group separation was carried out as shown in Table 3; the second, third(especially rare earth metals)and fifth(alkaline earth metals)analytical groups showed strong radioactivity.By ion exchange method(Fig. 4), the fraction of anions, Zr and Nb fraction, U fraction, the fraction of rare earth metals and the fraction of alkaline earth metals were separated.Furthermore, each constituent of those fractions was estimated quantitatively.In order to confirm the presence of 129mTe, 129Te, 131I, 132I, 103Rn, 106Ru, 106Rh, 95Zr and 95Nb, the chemical method was used.The members of alkaline earth metals, e.g.45Ca, 89Sr, 90Sr, (90Y), 140Ba and (140La), and the members of rare earth metals, e.g.91Y, 141Ce, 143Pr, 144Ce, 144Pr and 147Nd were estimated after the separation with the use of ion exchange resin.The presence of 237U was confirmed from its radioactivity and chemical properties.Also α-tracks of 239Pu.were detected by autoradiograph ic method.Table 6 indicates the summary of the results.
著者
馬淵 久夫 平尾 良光
出版者
作陽短期大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

三国時代の魏で作られたか日本列島で作られたかが考古学の問題になっている三角縁神獣鏡を材料面から検討するために鉛同位体比の測定を行なった。過去の測定で、三角縁神獣鏡に含まれる鉛は「舶載」も「〓製」も例外なく中国産と推定されているので、異なる鏡式の間の比較に主眼を置いた。研究の結果は次のように要約される。1.鉛同位体比から観測される事実(1)「舶載」三角縁神獣鏡は鉛同位体比図の上で狭い範囲(B-1)に集中し、特定の系統の原料が使われていることを示す。(2)日本出土の魏の紀年鏡は、平成6年出土の青龍三年銘方格規矩四神鏡を含めて、すべてB-1に入る。つまり、「舶載」三角縁神獣鏡と同じ系統の原料で作られていると考えられる。(3)日本出土の呉の紀年鏡は魏の紀年鏡とは別の領域(B-2)に集まる。これは中国出土の呉の紀年鏡と同じ系統の原料である。(4)「〓製」三角縁神獣鏡は「舶載」三角縁神獣鏡と近接するが、明らかに異なる領域(B-3)に分布する。(5)三角縁神獣鏡以外の古墳出土〓製鏡の大部分はB-1、B-2、B-3にまたがって分布し、さらに少数は弥生時代の前漢鏡タイプの鉛を含む。つまり、一定の原料で作られていない。2.三角縁神獣鏡に関する諸説との整合性(1)魏鏡説は、全般的に鉛同位体比の結果と整合性がよい。(2)日本列島製作説は、一定の材料が中国から輸入され、その材料だけを使って「舶載」三角縁神獣鏡が作られたとすると説明がつく。(3)渡来呉人製作説は、(2)のヴァリエーションの一つで、その場合、呉の工人は呉の紀年鏡の材料ではなく、日本列島に輸入されていた一定の材料を使って作ったと考える必要がある。
著者
澄川 喜一 長澤 市郎 小野寺 久幸 岡 興造 寺内 洪 小町谷 朝生 田淵 俊雄 坂本 一道 佐藤 一郎 大西 長利 増村 紀一郎 稲葉 政満 前野 尭 BEACH Milo C FEINBERG Rob 杉下 龍一郎 新山 榮 馬淵 久夫 中里 寿克 ROSENFIELD J 原 正樹 小松 大秀 中野 正樹 手塚 登久夫 浅井 和春 水野 敬三郎 海老根 聰郎 辻 茂 山川 武 福井 爽人 清水 義明 平山 郁夫
出版者
東京芸術大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

本研究プロジェクトは、広く海外所在の日本・東洋美術品の保存修復に係る調査研究の一環として、在米日本・東洋美術品の日米保存修復研究者による共同研究である。我が国の美術品は、固有の材料・技法をもって制作されるが、異なる風土的環境下でどのような特質的被害を生ずるかは従来研究されていなかった。たまたま米国フリーア美術館所有品に修理すべき必要が生じ、本学を含む我が国の工房で修復処置を行った。その機会に保存修復に関する調査研究が実施された。本プロジェクトの目的は、とくに絵画、彫刻、工芸についての保存修復の実情を調査することにあった。具体的には、本学側においては米国の美術館等の保存修復の方法、哲学、施設的・人員的規模等を調査し、フリーア美術館側は我が国の最高レベルの修復技術(装こう)とその工房の実態、すなわち施設、用具、手法、人員等を調査し、相互の研究結果を共同討議した。3年度間の研究成果概要を以下箇条書きで示す。1)フリーア美術館付属保存修復施設をはじめ6美術館(ナショナルギャラリー、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ゲティー美術館、ロード・アイランド・スクール・オブデザイン付属美術館)の保存修復施設、及び3大学の保存修復教育課程(ニューヨーク大学保存修復センター、デェラウェア大学保存修復プログラム、ニューヨーク州立大学バッファロ-校)を調査した。2)美術館及び収蔵庫並びに付属の研究室、工房は、一定範囲の温湿度(フリーア美術館の場合は温度68〜70゜F、湿度50〜55%、ただし日本の美術品に対しては湿度65%で管理する等、その数値は美術館により若干変化の幅がある)にコントロールされる。我が国の修復は自然な環境下で行われるから、そのような点に経験度の関与が必要となる一つの理由が見いだされる。しかし、完全な人工管理環境下での修復が特質的な材料・技法を満足させるものであるか否かの解明は、今後の研究課題である。3)CAL(保存修復分析研究所)やGCI(ゲティー保存修復研究所)のような高度精密分析専門機関は我が国にも必要である。4)米国の美術館は保存修復施設並びに専門研究者を必備のものと考え、展示部門ときわめて密接な関係をもって管理運営し、コンサバタ-の権威が確立されている。その点での我が国の現状は、当事者の間での関心は高いが、配備としては皆無に近い。5)大学院の教育課程は科学な計測・分析修得を主としながら、同時に物に対する経験を重視する姿勢を基本としており、その点で本学の実技教育に共通するところがある。米国の保存修復高等教育機関のシステムを知り得たことは、本学で予定している保存修復分野の拡充計画立案に大変参考になった。6)保存修復に対する考え方は米国内においても研究者による異同があり、修復対象作品に良いと判断される方向で多少の現状変更を認める(従来の我が国の修理の考え方)立場と、現状維持を絶対視する立場とがある。現状維持は、将来さらに良い修復方法が発見された場合に備える、修復箇所の除去可能を前提とする考え方である。保存修復の理想的なあるべき姿の探求は、今後の重要な国際的な研究課題である。7)それは漆工芸等においてはとくに慎重に検討されるべき課題であり、彼らには漆工芸の基礎的知識不足が目立つ。そのような我が国固有の材料、技法面についての情報提供、技法指導などの面での積極的交流が今後とくに必要であろう。逆に建築分野は彼らが先進している。8)米国研究者は我が国の工房修復を実地に体験し、深く感銘した。それは装こう技術が脳手術のようだという称賛の言葉となって表れた。9)ミーティングにおける主要話題は、保存修復は現地で行われるべきであり、それを可能とする人材養成が必要である。保存修復教育には時間がかかることはやむを得ない、期間として6年位が目安となろう。科学教育は大学で行われるべきだが、日本画に限れば工房教育がよい、などであった。