著者
尾上 耕一 星野 真一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.136, no.3, pp.150-154, 2010 (Released:2010-09-13)
参考文献数
35

通常のmRNA分解は3’末端ポリ(A)鎖の短縮化が第1段階であり,翻訳終結と共役して開始される.一方,ナンセンス変異を有する異常mRNAは,NMDと呼ばれるmRNA分解機構により正常なmRNAとは別経路を介して即座に分解される.NMDはナンセンス変異に起因する異常な短鎖タンパク質の生成を防ぐ防御機構として重要であるが,mRNAの急速な分解に伴う機能性タンパク質の欠如により致死的な疾患の原因となることがある.そのような疾患の治療薬として,最近PTC Therapeutics社において開発されたAtalurenが注目されている.Atalurenはナンセンス変異の結果生じた異常な終止コドンの読み飛ばしを引き起こし,機能性タンパク質の産生を可能にする.現在,臨床試験の段階にあるAtalurenだが,有効性,安全性ともに優れておりナンセンス変異に起因する多くの疾患への適応の拡大が期待される.
著者
Yonghao Yue 尾上 耕一 西田 友是
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.13(2004-CG-118), pp.31-36, 2005-02-07

近年、写実的な3DCGのレンダリングは設計やバーチャルリアリティなどさまざまな場面において利用されている。大域照明は写実的なレンダリングにおいては必要不可欠であるため、いかに効率的に大域照明を計算するかは重要な問題の一つである。高画質なレンダリングではしばしばphoton map法とfinal gatheringを組み合わせた手法が使用される。本稿では、final gatheringで放射する光線をキャッシュすることにより、フレーム間のコヒーレンスを利用して高速化し、インタラクティブな速度で光源や視点を動かせることを示す。
著者
尾上 耕一 西田 友是
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.282-289, 2003-02-01
被引用文献数
4

本論文ではコンピュータグラフィックスを用いて砂漠の景観をリアルに表示するための方法を提案する.まず,砂漠地形のモデリングについて議論する.砂漠地形は主に砂丘とその表面にできる細かいしま模様である風紋からなっている.それぞれを形成するためのモデルについて述べる.次に砂丘と風紋を組み合わせて砂漠の景観をレンダリングする方法について提案する.レンダリングでは砂丘の表面上に小さな凹凸である風紋を表現するためにバンプマッピングの手法を用いている.この計算の効率化のためにLODの手法を用いる.また砂漠の景観をよりリアルに表示するために,砂丘の影,風絞の影,砂埃を考慮している.最後にレンダリング結果として砂丘表面上の風紋,砂丘の影,風紋の影,の有無を比較した画像を作成しそれぞれの効果を示した.