著者
松島 るみ 尾崎 仁美
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45006, (Released:2021-09-13)
参考文献数
13

本研究の目的は,オンライン授業に関する評価と自己調整学習方略,自己効力感,協同方略,学習の持続性や積極的関与の関連を検討することであった.大学生104名を対象に調査を実施し,重回帰分析を行った結果,オンライン授業に対する自己効力感がオンライン授業の評価に最も強く影響したことから,学習者がオンライン授業の学習効果を実感し,うまく学習を進めていく自信を持つことが出来るかどうかが重要であることが示唆された.また,学習への積極的関与がオンライン授業の評価に負の影響を示したことから,学習意欲が高い学習者は,対面授業と比べて,学習環境や学習デザインに不十分さを感じている可能性も示唆された.
著者
神藤 貴昭 尾崎 仁美
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.345-355, 2004-12-20

近年,大学における教育的側面が検討されるようになってきた。本研究の目的は,大学授業における教授者のストレスと対処行動の過程を明らかにすることであった。研究1では大学授業における教授者の認知するストレッサーの種類を調査した。研究2では,3名の大学教員によっておこなわれた実際の7つの授業をもとにして,教員への面接や授業VTRの分析をとおして,教授者と授業中のストレッサーとの相互作用を詳細に記述した。主な結果は以下のようであった。(1)全体的には学生の反応に関するストレッサーが多いこと,(2)放置という対処が多く見られたこと,(3)教授者の経験年数が少ないほど,学生の否定的反応に関するストレッサーを多く認知していること,(4)対処行動にもかなり個人差があるということ,(5)あるストレッサーを解決しようとすると,別のストレッサーが生起する可能性があること,の5点である。これらの結果はファカルティ・ディベロップメントの観点から議論された。