著者
片倉 浩理 畠中 陸郎 山下 直己 佐藤 寿彦 岩切 章太郎 尾崎 良智 長井 信二郎 岡崎 強 塙 健 松井 輝夫 美崎 幸平 桑原 正喜 松原 義人 船津 武志 池田 貞雄
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.281-284, 1999-05-25 (Released:2016-10-15)
参考文献数
14

症例は41歳, 男性。脇差しにより頸部正中刺創を受け, 近医で皮膚縫合を施行されたが, 頸部腫脹, 発声障害が進行するため, 受傷後約18時間後に当院を受診した。著明な皮下気腫を認め, 気管の損傷を疑い気管支鏡を施行した。第1気管軟骨輪に約2cm, 同レベルの膜様部に約1cmの損傷を認めた。同検査中再出血により緊急手術を施行した。出血は甲状腺左葉内の動脈性出血であり縫合止血した。食道の損傷はなかった。気管軟骨輪および膜様部の縫合を行った。術後経過は良好で退院したが, 肉芽形成の可能性もあり, 経過観察が必要である。
著者
大内 政嗣 井上 修平 尾崎 良智 藤田 琢也 上田 桂子 花岡 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.170-176, 2014-03-15 (Released:2014-04-28)
参考文献数
18
被引用文献数
1 4

シカ生肉が感染源と考えられたウエステルマン肺吸虫症の1例を経験したので報告する.症例は49歳,男性.腹部不快感に続く気胸,胸水のため当科紹介となった.発症2週間前にシカ生肉の摂食歴があり,末梢血と胸水の好酸球増多から肺吸虫症を疑った.胸水が高度に混濁しており,膿胸を合併した自然気胸の可能性を否定できず,胸腔鏡下手術を施行した.横隔膜と壁側胸膜に多数の膿苔が認められ,下葉の臓側胸膜にも膿苔が存在していたため,胸膜生検と下葉部分切除術を行った.血清学的診断で肺吸虫症と診断,プラジカンテルにより治療し,好酸球増多は改善した.術後13ヵ月を経過し再発を認めていない.肺吸虫症例を疑う症例では早期に血清学的診断を行い,迅速にドレナージと薬物療法を行うことが重要である.また,肺吸虫症における胸腔内病変の存在部位はメタセルカリアの移動経路に一致しているものと考えられた.
著者
尾崎 良智 井上 修平 藤野 昇三 紺谷 桂一 澤井 聡 鈴村 雄治 花岡 淳 藤田 美奈子 鹿島 祥隆 古川 幸穂
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.726-730, 2000-09-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

入院中に喀毛症 (trichoptysis) を認め, 左上葉気管支と交通のあった縦隔奇形腫の1手術例を経験した.症例は36歳, 女性.1995年6月の検診で左上肺野に異常陰影を指摘され, 血疾が出現したため当科に入院した.入院中に喀毛をきたし, 縦隔成熟型奇形腫の気道内穿破と診断された.同年7月に縦隔腫瘍摘出および左上区切除術を行った.切除標本で腫瘍は左B3気管支に穿破していた.縦隔成熟型奇形腫は比較的高頻度に隣接臓器, 特に肺・気管支への穿孔をきたすが, 画像診断が進歩した現在では, 喀毛症により診断される例は極めてまれである.穿孔する原因としては腫瘍内の膵, 腸管組織による自家消化作用が注目されているが, 本症例では, 膵, 腸管組織は認められず, 腫瘍内容物の増大に伴う嚢胞内圧の上昇と周囲組織との炎症性癒着が穿孔の主たる原因と考えられた.
著者
片倉 浩理 畠中 陸郎 山下 直己 佐藤 寿彦 岩切 章太郎 尾崎 良智 長井 信二郎 岡崎 強 塙 健 松井 輝夫 美崎 幸平 桑原 正喜 松原 義人 船津 武志 池田 貞雄
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.281-284, 1999
参考文献数
14

症例は41歳, 男性。脇差しにより頸部正中刺創を受け, 近医で皮膚縫合を施行されたが, 頸部腫脹, 発声障害が進行するため, 受傷後約18時間後に当院を受診した。著明な皮下気腫を認め, 気管の損傷を疑い気管支鏡を施行した。第1気管軟骨輪に約2cm, 同レベルの膜様部に約1cmの損傷を認めた。同検査中再出血により緊急手術を施行した。出血は甲状腺左葉内の動脈性出血であり縫合止血した。食道の損傷はなかった。気管軟骨輪および膜様部の縫合を行った。術後経過は良好で退院したが, 肉芽形成の可能性もあり, 経過観察が必要である。
著者
井上 修平 藤野 昇三 紺谷 桂一 澤井 聡 手塚 則明 花岡 淳 尾崎 良智 鹿島 祥隆 元石 充 古川 幸穂
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.57-64, 2002-01-15
被引用文献数
10 7

従来,胸膜中皮由来とされ限局性胸膜中皮腫(localized mesothelioma)と呼ばれた腫瘍は,近年,胸膜中皮下の間葉系細胞由来と考えられるようになり,solitary fibrous tumorまたはlocalized fibrous tumor of the pleuraという呼び名が一般化しつつある.胸腔鏡下に摘出し得た有茎性の3症例を報告する.3例中2例は臓側胸膜から発生し,1例は壁側胸膜から発生していた.本症は肺腫瘍,胸壁腫瘍,縦隔腫瘍等との鑑別が困難であるが,3例中2例は体位変換によって腫瘤陰影の移動が認められ,術前に有茎性腫瘍の診断が可能であった.3例各々の最大径は6.3cm,4.9cm,3.5cmであったが,全例胸腔鏡下摘出は容易であり,再発等認めていない.