著者
篠原 陽子 藤原 康晴 山下 伸典
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.161-166, 2001-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

NaClOと過酸化水素水との反応で発生する酸素量を自作のガスビュレットで測定し, 簡単に塩素系漂白剤の濃度決定を行う方法を開発した.得られた結果は次のように要約される.(1) ガスビュレットで求めた発生酸素量V∞ (mmol) と, 常法の酸化還元滴定で求めた有効塩素濃度H (%) との間によい相関が認められ, 本方法が有効塩素濃度の決定に用い得ることがわかった.(2) 本法は, 漂白に関係する酸素を測定するので, 原理がわかりやすい.経時的な測定では, 反応速度定数が求められ, 基礎から応用まで幅広く活用可能である.過酸化水素水を用いる本法は, 安全で廃液の処理も簡単であり, 学生実験にも適用できる.(3) みかけの反応速度は10~40℃の範囲では, 温度に比例して大きくなることが認められた.(4) 開封して長期間使用している市販塩素系漂白剤の発生酸素量を測定した結果, 開封後1年で当初の約70%, 2年後で約50%の濃度に低下していることが示された.(5) 保管条件による濃度低下を検討した結果, 温度, 光の影響を強く受けることがわかった.なお, 本研究の概要は, 日本家政学会第49回大会 (1997) において発表した.