著者
山下 秋二 山形 修 出村 慎一 中 比呂志 郷司 文男
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-13, 1995

本研究は, ヘルス/フィットネスクラプの経営に従事する組織単位間の相互依存性の研究である. これらクラブ経営体は, 各々自己の関与する組織間関係システムにおいて, 互いに役割モデルとして認識し合ったり, あるいはまた, ビジネス目的の効率的達成にむけて, 諸資源の結合・連関(ネットワーキング)の仕方を模索している. 本研究では, かかる意味の組織相互依存性と組織の内部持性との関係を分析した. 調査データは, 現在の我が国で展開されているヘルス/フィットネスクラブの上級管理職(支配人)から求めた. データ源となったクラブはいずれも多種目複合型の運動施設であり, 39都道府県下に分散し, 総計205箇所である. 分析の結果, 1)組織構造の複雑性, 経営資源力, 経営資源独自性の高さがクラブ間における役割モデルとしての期待を高めること, 2)経営資源力が相対的に小さく, かつサービス産出量(顧客数)の多いクラブほど同業者間ネットワークへの依存度が高くなること, 3)異業種(とくに一般サービス業及び関連スポーツ施設への)依存は, 市場への伝達情報量, 施設サービス革新の数, サービス産出量の多さ, 及び市場情報の信頼性のなさなどが影饗すること, そして4)ネットワーキングの実際上の形態は, そのプロセスからみて計画的なものと創発的なものとに類型化でき, 前者に参加するクラブは後者に参加するクラブに比べて, 組織が複雑で公式化されており, 経営資源力が優位で, 組織構成員の量も多く, また, 市場情報の信頼性のなさを強く感じていること, などが明かとなった.