著者
山中 祥太 栗原 一貴 宮下 芳明
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.3_53-3_63, 2013-07-25 (Released:2013-09-25)

視線計測技術の精度は年々向上しているものの,ユーザが操作したいと考えて注視している画面内のオブジェクトを視線情報のみから特定することは困難であると言われている.一方で,注視していない範囲は容易に特定できるため,この領域を適切に利用することで新たなインタラクションが可能になると考えた.本論文では,注視していない領域においてカーソルの移動速度を上昇させ,ポインティングを高速化する手法を提案する.評価実験では,PC操作において日常的に行われるアイコンクリックを想定したタスクを行い,選択時間とエラー率を計測した.実験に用いたカーソル速度は,OSの標準速度,OSの最高速度,提案手法の3種類である.実験の結果,提案手法は標準速度より選択時間が短縮され,かつエラー率は上昇しないことから有効性を示した.
著者
富張 瑠斗 木下 大樹 大塲 洋介 山中 祥太 宮下 芳明
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.5, pp.1-7, 2022-08-15

視力が低いとポインティングの際,カーソルやターゲットがぼやけて見える.そのためターゲットを慎重に狙う必要があり,選択までの時間が増加する可能性がある.また,カーソルやターゲットを正確に把握できないため操作ミスも増える可能性がある.本研究では視力が低下した際,パフォーマンスがどの程度低下するのかを調査する.実験では視力の変化を画面のぼかしで代替することで,画面上のターゲットが明瞭に見えない状況を再現した.実験の結果,ぼかしが強いほど操作時間とエラー率が増加することがわかった.また,ターゲットが小さいほど,エラー率に対するぼかしの影響が大きいことがわかった.
著者
木下 大樹 大塲 洋介 富張 瑠斗 山中 祥太 宮下 芳明
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.37, pp.1-8, 2022-08-15

多くのポインティング手法の評価実験ではできるだけ速く正確にタスクを行うように指示される.速さと正確さはトレードオフの関係にあるため,それぞれにどれだけの重みを置くかは参加者にゆだねられてしまう.例えば,エラーしにくいポインティング手法を提案して評価実験をする場合,正確さに重きを置く参加者が多いと,従来手法との差が出ない可能性がある.本稿では,速さと正確さに対するバイアスがポインティング手法の評価結果へ与える影響を調査した.ニュートラル,速さ重視,正確さ重視の 3 種類のバイアスでポインティングタスクを行う実験を,十字カーソルとバブルカーソルの 2 種類のカーソルで実施した.結果,バイアスとカーソルの間に交互作用がみられ,バイアスが正確さ重視になることでカーソル間のエラー率の差が小さくなることがわかった.このことから,速さと正確さに対するバイアスが評価結果に影響を与える可能性が示唆された.一方で,正確さ重視においてもバブルカーソルの方が十字カーソルよりも有意にエラー率が低く,バブルカーソルはバイアスによらず有効な手法であると示された.ポインティング手法の評価実験において,複数のバイアスを条件に含めてタスクを行うことで,多彩な状況(たとえば,ユーザが確実にエラーをせずにボタンを選択したい状況)を考慮した評価が行えると考えられる.
著者
山中 祥太 宮下 芳明
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.4_116-4_121, 2016-10-25 (Released:2017-01-14)

The steering law is a robust model for expressing the relationship between movement time and task difficulty. Recently, a corrected model to calculate the steering time difference between narrowing and widening tunnels was proposed. However, the previous work only conducted a user study with straight paths. This paper presents an investigation of steering performance in narrowing and widening circular tunnels to confirm the corrected model as being either adequate or a limitation. The results show that the steering law achieves a good fit (R2>.98) without the corrected model, thereby indicating the limited benefit of employing the corrected model.