著者
山井 弥生 岡澤 憲芙 久塚 純一 田辺 欧 石黒 暢 吉岡 洋子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的はスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドの北欧 4 カ国を研究調査対象とし、北欧諸国の中でも介護に多様性に富んでいることを明らかにすることであった。同時に、各国の文化と歴史、政治動向の視点から、その要因を比較分析することを試みた。5年間にわたり、各地でフィールド調査を行い、現地の研究者との議論をする中で、市場化の度合い、サービス供給者の特徴などに違いが見られ、その要因は政治に影響される部分が多いことが明らかとなった。介護は介護を必要とする人の生活を支えるものであり、当然のことながら地域特性や歴史文化の影響もあることが明らかとなった。
著者
山井 弥生 久塚 純一 岡沢 憲芙
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

研究の背景-ノルウェーと日本比較福祉国家研究では、ノルウェーは北欧福祉国家モデルに分類され、高齢者介護では公的セクターが大きな役割を果たしていることが特徴とされる。日本とノルウェーでは、高齢者介護へのアプローチが異なるものの、類似点も見られる。ノルウェーは北欧諸国の中では、比較的、家族の役割が期待され、またNPOの活動も見られ、日本の高齢者介護との共通点もみられる。その意味で北欧諸国の中でもノルウェーは日本に身近な存在のようにみえる。研究の目的本研究の目的は、ノルウェーと日本の高齢者介護システムについて、特に家族の役割やサービス供給のしくみに重点を置いて、比較検討を行うことにより、それぞれの国の特徴を明らかにすることであった。研究計画と実施方法本研究は3つのパートで構成された。第一にノルウェーと日本の福祉国家比較研究を行った(岡沢、久塚)。第二に、両国の高齢者介護サービスの供給システムについての分析を行った(クリステンセン、エドヴァードセン、斉藤)。第三に、家族、ジェンダーの視点から両国の高齢者介護を比較した(ウエルネス、安倍)。本研究の特徴はノルウェー研究者との共同研究であり、東京、オスロ、ベルゲン、トロンハイムにおいて、現地調査および研究会を共同で実施してきた。研究の成果研究成果は各研究者が論文としてまとめた。本研究では、両国の介護サービス発展の歴史を見ると、伝統的なスタイルから専門化という同じプロセスをたどっていること、グローバル化の中で競争原理が強調され、介護サービス供給スタイルが大きく変わっていることなどが、共通点として明らかとなった。研究成果については、今後、出版を計画している。
著者
山井 弥生(斉藤弥生)
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

介護サービスの準市場化が進む中で、ヨーロッパ諸国では大企業による市場の寡占化が懸念されている。介護サービスの質を保持するためには市場における適度な競争環境が必要となる。市民セクター研究の第一人者であるヴィクトール・ペストフは福祉サービス供給における理想的な福祉多元主義の実現に社会的企業の役割に期待しており、日本の協同組合医療・介護の役割に注目している。そこで本研究ではペストフとの共同研究として、JA厚生連、医療生協の9団体を対象に構造的なインタビュー調査を行い、その結果を比較検討する中で、協同組合医療・介護が副次的に生み出す社会的価値と、その創造機能を明らかにした。