- 著者
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田辺 欧
- 出版者
- 大阪大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2009
本研究はアンデルセン文学のなかで特にマイナーとされるジャンルを中心に、"移動"というテーマによってテクストを選別し、脱領域観点からアンデルセン文学を「越境文学」として検証することであった。空間と文化を越境しつづけたアンデルセンの流動的なマルチ芸術性に注目しつつ、アンデルセン文学が複数の文学領域、また文学以外の芸術領域と交錯するなかで「総合芸術」として創造されたことを考察した。その結果、単にロマン主義文学としての「総合芸術」の所産に留まることなく、現代においても、統合芸術として、常に新たな解釈の可能性があることが検証された。