著者
山井 弥生 岡澤 憲芙 久塚 純一 田辺 欧 石黒 暢 吉岡 洋子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的はスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドの北欧 4 カ国を研究調査対象とし、北欧諸国の中でも介護に多様性に富んでいることを明らかにすることであった。同時に、各国の文化と歴史、政治動向の視点から、その要因を比較分析することを試みた。5年間にわたり、各地でフィールド調査を行い、現地の研究者との議論をする中で、市場化の度合い、サービス供給者の特徴などに違いが見られ、その要因は政治に影響される部分が多いことが明らかとなった。介護は介護を必要とする人の生活を支えるものであり、当然のことながら地域特性や歴史文化の影響もあることが明らかとなった。
著者
吉岡 洋子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.115-122, 2020 (Released:2021-07-01)

本研究は、スウェーデン教会が行う福祉事業、特に子ども支援について、そこで生み出される人々のつながりに注目して明らかにし、市民社会による子ども支援の特性について示唆を見出すことを目的とする。方法は、A教区に関する文献資料研究とディアコンへのインタビューであり、教区福祉事業の全体像と、子どもに関わる事業、子ども支援について整理分析した。福祉事業は、文化・余暇活動等の場での早期課題発見や、福祉的テーマごとの集いとして実施されていた。子ども関連事業の大半は文化・余暇活動であり、子ども支援としては、テーマごとの集い、余暇活動の補足、学習支援が実施されていた。結果から、スウェーデン教会の特性発揮のあり方や、子ども支援を通じて生まれる人々のつながりのゆるやかさや多面性を考察した。公的福祉制度の枠外で、行政には対応できない、精神的・社会的な側面で市民社会が子ども支援を行っていることが見出された。
著者
吉岡 洋子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-37, 2015 (Released:2018-10-01)

スウェーデンの福祉に関わる政策や議論で、コミュニティワークという言葉をきくことが殆どないのはなぜか? 本稿の目的は、スウェーデンにおいて、コミュニティワークの機能を誰がどのように担っているのかを考察し解明することであり、ソーシャルワークの内側と外側という視覚から考察を行った。また、コミュニティワークの諸機能を枠組みとして分析を行った結果、ソーシャルワークの一技術としてのコミュニティワークは、1980 年代以降のスウェーデンでは概念また実践としてもほぼ消滅していることが分かった。しかし、より広い視点から探究したところ、住民参加や地域組織化、ソーシャルアクションといったコミュニティワークの諸機能は、市民社会における組織団体の伝統や、福祉国家の理念や特徴により、担われていることが明らかになった。
著者
吉岡 洋子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.13-21, 2011 (Released:2018-10-01)

国民運動の伝統を背景に、スウェーデン政府は長年NPOに対して寛容に補助金を提供してきた。しかし1990年代以降、世界的な流れと同様にスウェーデンでも、NPOは政府資金に対する成果を強く要求されるようになった。本稿は、NPOへの国庫補助金の現状を整理分析することを通じて、社会福祉分野のNPOに対する政府の志向を、NPOの「存在」と「成果」の観点から分析した。また、NPOへの国庫補助金の意義についても考察した。 結果、政府の統制強化に関しては変化もみられるものの、今日もNPOの「存在」自体に価値をおく観点が、国庫補助金の基盤となっていることが明らかになった。補助金があるからこそ、多種多様なNPOの組織継続が可能となり、世の中に存在している社会福祉事業がある。NPOと政府の関係が多面性を増す今日だからこそ、NPOへの補助金の意義が大きいことも見出された。