- 著者
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吉岡 洋子
- 出版者
- 北ヨーロッパ学会
- 雑誌
- 北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, pp.115-122, 2020 (Released:2021-07-01)
本研究は、スウェーデン教会が行う福祉事業、特に子ども支援について、そこで生み出される人々のつながりに注目して明らかにし、市民社会による子ども支援の特性について示唆を見出すことを目的とする。方法は、A教区に関する文献資料研究とディアコンへのインタビューであり、教区福祉事業の全体像と、子どもに関わる事業、子ども支援について整理分析した。福祉事業は、文化・余暇活動等の場での早期課題発見や、福祉的テーマごとの集いとして実施されていた。子ども関連事業の大半は文化・余暇活動であり、子ども支援としては、テーマごとの集い、余暇活動の補足、学習支援が実施されていた。結果から、スウェーデン教会の特性発揮のあり方や、子ども支援を通じて生まれる人々のつながりのゆるやかさや多面性を考察した。公的福祉制度の枠外で、行政には対応できない、精神的・社会的な側面で市民社会が子ども支援を行っていることが見出された。